日刊サイゾー トップ > カルチャー  > たつき監督はなぜツイートしたのか

9月25日午後8時、たつき監督はなぜツイートをしたのか──『けものフレンズ』わからなかったこと、そして、わかったこと。

 打ち上げの顛末を聞いた時に、こんな文章が頭に浮かんだ。

 ……どうしても、気持ちの整理が出来なかった。なぜ、福原さんは打ち上げに行ってしまったのか。俺の気持ちをわかってくれなかったのか。最初に出会った時の、福原さんの顔が、幾度も浮かんでは消えていった。名刺を渡された時は半信半疑だった。でも、何度か出会い、話をするうちに気持ちは変わっていった。この人は、俺の作品をもっと大勢の人が見てくれる機会を与えてくれる人だ。俺のために、こんなにも時間を割いて、魂を捧げてくれる。だから、俺もその想いに応えたい。そう思って頑張ってきた。そして、俺の心血を注いだ作品は、大ヒットした。自分の人生の大切な時間を刻んで注いだ魂。俺の魂の欠片が溶け込んでいるから、あんなにみんなが賞讃してくれる作品になったんだ。なのに、どこか置いてけぼりな感じがする。もっと、もっと『けものフレンズ』でやりたいことがある。やりたいことが多くて、いつも身体は熱くなってしまう。人生には限られた時間しかない。だから、この熱が冷めてしまわないうちに、1日でも早く、いま、自分の身体の中に渦巻いている熱を作品にしたい。でも、それをしようと思うと待ったがかけられる。福原さんも、そうだ。俺のことを信じて、俺の情熱を愛してくれているはずなのに。「作品がヒットしたのは、俺がいたからでしょう」そんな思い上がったことを言うつもりはない。わかっている。アニメには製作委員会というものがあって、いろんな会社が出資していて……。でも、福原さんは、ヒットすればするほど、グチャグチャになる俺の心を理解して、寄り添っていてくれているのだと信じていたのに。信頼という2文字が、今はとても憎い……。ふと、気がつくと、グチャグチャなまま、スマホの住所録から、福原さんの番号を表示させ、赤い電話のマークを押していた。数回のコール。少し焦った口調で福原さんは電話に出た……。

 打ち上げに出席していた関係者。中でも、福原と関係の深い人物。思いあたったのは、打ち上げの顛末を教えてくれた関係者が口にしたのと同じ名前だった。電話をするべきか、メールを送るべきか。逡巡してから、LINEにすることにした。オタク業界の片隅で、真冬でも夏のように熱い情熱を燃やしているこの男。幸いにして彼のほうから、幾つかのメディアの報道について、彼視点での感想を話しかけてきていたからだ。

 何か、いろいろと話したいことがあるのに、話せないのか。LINEだというのに、いくつかの長文を送ってきた彼への返事を短文で送った。

「というか、福原さん紹介してください。ちゃんとしたルポを書きましょう」

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