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「武器はトランプの押し売り」報道に、専門家から異論も……「F35は実質日本製」

 では、導入の決まっているイージス・アショアはどうだろうか。

「新型コンピュータを搭載したイージス艦を常時、日本海に張り付けて北朝鮮からのミサイルに備えているところ、その迎撃システムを陸上に置くのがアショアです。イージスを地上配備するので、船と違って運用する要員を大幅に減らせるはず。日本のイージス艦は一隻1,200億から1,500億円かかると言われていますが、アショアの方は800億円程度と見られ、むしろお買い得なのでは。そのシステムも資料を見るとディスプレイやソフトウェアなど日本製を多数含むので、トランプ大統領が『もっと武器を売る』と言っても、日米の往復が増えるだけで、一方的に金が流れる話ではないと思います。日本が安く作ったパーツを、アメリカから高く買わされる部分が出てきたとしても、もう少し正確に実情を理解しておきたいところ」(同)

 では、ほかにアメリカから補充すると見込まれる装備は何か。

「たとえば長距離ミサイル。アメリカから射程2,000キロ以上のトマホークを買うという話が持ち上がっていますが、これに代わる中距離超音速ミサイルの開発を進めるという話もあります。この種のミサイルはインド、ロシアぐらいしか持っておらず、正面装備として見ても決して大きなものではありません。もし大きな買い物があるとすれば、空母と原子力潜水艦、そして核ですが、いずれも必要性は低いです」(同)

 空母は自衛隊に用途が見当たりにくいものとされる。緊張する中東など遠方に接近して圧力を加えるならともかく、日本近海で行動するなら本土を基地に行動すればいいだけだからだ。原子力潜水艦も同様で、一度潜航したら何年も浮上せずに世界中どこでも活動できるという特性は、こちらもその予算があれば3週間以上は潜れる通常型の潜水艦を多数作って、日本近海で行動させている方が効率的なのである。残る核については必要性以前に、世論が許すとは思えず、アメリカも保有を簡単には認めないと見られる。

「そうなると、あとは韓国でも問題となったTHAADなどの弾道弾迎撃ミサイルが必要になりそうです。すでに配備されているパトリオットPAC3は、もともと航空機の撃墜用。洋上のイージス艦から発射されるSM3もありますが、撃ち漏らす恐れを考えた場合に中距離の迎撃が可能になります。これはトレーラーに搭載した移動式で、1台で日本全域の防御は不可能なため、多数配備する必要がありますが、価格は800億から1,000億円とイージス・アショアと大差ありません」

 青山氏の見立てでは、トランプ発言で大騒ぎする必要はあまりないということ。それをわかっていて安倍首相が歩調を合わせたのなら、何か狙いがあってのことなのだろうか。そうでなければ、国内外で反発を招いているようなトランプ政権に媚びすぎている、という指摘も説得力が増してしまう話だ。
(文=片岡亮/NEWSIDER Tokyo)

最終更新:2017/11/09 22:30
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