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オリンピックに間に合わず……いつの間にか延期されていた「BRT」湾岸地域の交通網は破綻へ

※イメージ画像

 今年10月中旬の移転で、ひとまずの合意を見ている築地市場の豊洲への移転問題。2016年8月に就任した小池百合子都知事が、同年11月の移転を“直前の決断”で延期して以来、ゴタゴタ続きの末での決定である。

 この移転延期によってあおりを受けているのが、築地市場跡地を通る環状2号線。すでに隅田川には橋が架かり、新橋側の工事も完了しているのに、築地市場があるために500メートル程度の道路建設工事に着手できないまま、時間だけが過ぎていたのである。

 もし予定通りに移転していれば16年末にも暫定道路が開通していたのだが、現在は晴海から豊洲へ向けて、誰も通ることができない道路と橋が放置されているのである。

 これにより、環状2号線開通後に導入される予定だったBRT(バス高速輸送システム)である。これは、専用道路を持ち、定時運行の信頼性が高いバス路線。東京都の「都心と臨海副都心とを結ぶBRTに関する事業計画」では、バスが2台つながった連節型車両などを導入し、湾岸地域の新たな交通機関として計画を進めていた。

 想定される路線はさまざまあるが、新橋駅から環状2号線を通過して、豊海から豊洲。あるいは、有明方面への路線が計画されている。現在、公共交通ルートに乏しい近辺であるが、BRTの開通を見越して、マンションを購入している人も多い。計画では、環状2号線を経由すれば新橋から晴海三丁目まで10分程度というから、相当な交通網の改善である。

 ところが、19年にも予定されていた全線開通は完全に頓挫している。

 都民ファーストの会が16年末に示していた「都民ファーストでつくる『新しい東京』~2020年に向けた実行プラン~」では「環状第2号線の整備状況に合わせて、BRTの運行を、順次開始する」と、早くも19年の開通という言葉を削除し暗雲が立ちこめていた。

 それが決定的になったのは17年12月20日の記者会見。ここでBRTについて問われた小池知事は「BRTについては、大会の後ということもございますが」と、BRTの開業が五輪後にずれ込むことを念頭に計画を立て直していることをあたかも当然のように言い抜けたのである。

 実は、BRTの運営にあたっては17年中にも新会社が設立されるはずだったが、これも破綻している。

 結局、路線自体は計画されているものの、将来的に、実際に運行されるかどうかも怪しくなっているといってもよいだろう。結果、湾岸地域には見た目は立派だけど、交通の便が悪いマンションが残される結果となる。

 湾岸地域の交通網改善に関して、当初は「晴海通りに路面電車を復活させる」というものもあった。遅れるならば、いっそ、この案で再検討してもよいのでは?
(文=昼間たかし)

最終更新:2018/01/17 21:00
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