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学者・弁護士のポジショントークが目立った……『漫画村』をめぐる“ブロッキング問題”の顛末

 いったい、なんでこんなことになってしまったのか。海賊版サイト『漫画村』をめぐる問題で、NTTがついに関連サイトをブロッキングする事態になってしまった。

『漫画村』の問題をめぐっては、政府の「知的財産戦略本部会合・犯罪対策閣僚会議」が13日に緊急対策として、海賊版サイトへの接続については民間による自主的な遮断を促すことを決定していた。

 この政府の対策は、法的な根拠のない通信事業者への「要請」。何より、問題とされた『漫画村』はすでにサイトを閉鎖しており、ブロッキングをしても効果は皆無だ。

 当初は政府による指示ないし行政指導も検討されていたことを考えると、通信事業者に対して、政府から海賊版サイトのブロッキングを公式にお願いしているのか、していないのか、なんだかよくわからない「作文」となっている。

 これに対応するNTTグループのブロッキング実施も、何かやっているフリをしてあげないといけないという忖度が見え隠れする。結局、緊急対策としてのブロッキングが、通信の秘密を侵害する危惧を主軸においた議論だけが残る結果となった。

「何か対策を迫られて、浮上したのがブロッキングによる解決。みんな途中から、ブロッキングでは実効性がないと気付いたはずなのですが、もう引き返せなくなったということでしょう」

 そう話すのは、この問題に詳しい通信事業の関係者。

 この議論の中では、通信の秘密をめぐる問題などにも詳しいはずの中村伊知哉慶應義塾大学教授ほか、弁護士の中にも「政府の取り得るギリギリの措置」などとして、ブロッキングへの賛意を表明する知識人が登場。いったいなんの「御用」なのかと、注目を集めた。

「本人たちも、ブロッキングじゃダメだってわかってるでしょう。でも、周囲を固められてポジショントークをせざるを得なかったんじゃないですか。ほら、経済産業省のメディアコンテンツ課とか、CODA(一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構)の事業とか、いろいろと事情があるんじゃないですか?」(前出通信事業関係者)

 政策に関与する立場にありながら、いざとなると結論ありきのポジショントークに陥る人たちの、哀れみが見えた一連の騒動。政府は、今後の法整備を述べてはいるが……。

「内閣法制局のレベルで“ブロッキングの法整備は無理”って話になるでしょう」(政府関係者)

 やってる感を演出しなきゃならない大人の事情は、大変だ。
(文=特別取材班)

最終更新:2018/04/26 21:00
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