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じゃまおくんのザオリク的マンガ読み

伏線多すぎなのに、結局何もわからない! パニックホラーの最高峰『ドラゴンヘッド』とは?

■前半の超ヤバい奴、ノブオ

『ドラゴンヘッド』では、要所要所に「超絶ヤバい奴」が登場して、ストーリーを盛り上げてくれます。作品前半、崩落したトンネル内で生き残った3人のうち、ノブオが超ヤバい奴でした。

 もともといじめられっ子でオドオドしている割に、神経質でキレやすいタイプのノブオ。周りは死体だらけ、トンネル内での暗闇と異常な暑さ、助けが来るあてはなく、食料もいつ底をつくかわからないという極限状況で、幻覚が見え始め、狂いだします。

 そしてたぶん、一度本作品を見たらインパクトがありすぎて脳裏にこびりついて忘れられなくなるのが、狂ってしまったノブオの全身ペインティング。落ちていた化粧道具を使って、口や目の周りには口裂け女みたいな隈取りを描き、全身には爬虫類のような斑点をペイントするという、常人には考えつかないセンス。とにかくキモい!

 さらに、眠っているアコの服を脱がせて同様のペイントをして、その場でマスターベーションをしてアコの体に射精するという変態行為をしたり、嫌いだった生活指導教師の死体を包丁で解体し、いけにえの儀式を始めるなど、エクストリームな狂いっぷり発揮してくれます。ただでさえ極限状態なのに、生き残りの1人が狂ってるとか、もう地獄絵図ですよね。

 結局、テルとアコだけがこのトンネルを脱出。ノブオはトンネルの中に残り、生死不明の状態となります。悪魔の化身となったノブオがラスボスとなって、再び現れるなんて展開もありそうでしたが……結果として再登場はありませんでした。これだけ強烈なキャラなのに、伏線でもなんでもないんかーい!!

 

■中盤の超ヤバいやつ、リュウズ

 トンネルを脱出し、東京に向かうテルとアコを待ち受ける外の世界も、まさしく地獄絵図。降り注ぐ灰で昼間なのに夜のように暗く、あらゆる建物は地震で倒壊し、がれきの山。人の気配もほとんどなく、いまだにこの世界にどんな災害が起こったのかまったくわかりません。とにかく核心に迫る情報は一切描かれない、超もったいぶる系マンガなのです。

 そんな中、自衛隊を逃げ出した仁村・岩田という2人の自衛隊の生き残りと行動を共にするようになったテルとアコ。破傷風になってしまったテルの薬の調達のために廃病院に向かったアコは、傷だらけの頭を持つ謎の人物と出会います。自分のことを「竜頭(リュウズ)」と名乗るこの男は、全身がげっそりと痩せこけ、感情がなく目がうつろで、たまにたどたどしく意味のわからない内容をしゃべるだけという、ノブオに匹敵するヤバいビジュアルのキャラクターですが、実は脳の手術により扁桃体や海馬を取り除き、恐怖など一切の感情をなくしてしまった人物なのです。

「竜頭」=『ドラゴンヘッド』という、作品タイトルといかにも関連がありそうなキャラクターで、実際、この大災害に関する秘密を何か知っていることは間違いないのですが、とにかくコイツ、何言ってるんだか全然わかりません。

「ホ…ク…サイ…の…エ…だ…よ…あれ…と…そっ…く…り…の…み…んな…見た…東…京…で…」

「そ…れ…で…い…つ…から…か…だ…誰か…が…た…たとえ…て…りゅ…りゅうず…て…」

 すごく意味深なのに、何もわからないセリフ。はあ? なんで急に北斎? ていうか、なんで倒置法? みたいな。読者のモヤモヤ感だけが、着実に募っていきます。本作は、とにかく作品中のあらゆるところに、こんな感じの意味ありげな描写が張り巡らされているのです。

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