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ドラマ評論家・成馬零一の「女優の花道」

日テレ『崖っぷちホテル!』浜辺美波の”ドヤ顔感”がクセになる!?

 浜辺は現在17歳。

 2011年に、長澤まさみを輩出した東宝シンデレラオーディションに応募してニュージェネレーション賞を受賞。東宝芸能のシンデレラルーム所属となり、同年公開のショートムービー『アリと恋文』で女優デビューした。

 人気アニメを実写ドラマ化した『あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない。』(フジテレビ系、以下『あの花』)では、主人公のひきこもりの青年の前に現れる、幼少期に命を落とした幽霊の少女(ただし、なぜか年齢は成長している)・めんまを演じた。

 このドラマは、画面のレイアウトがほとんどアニメと同じという完コピドラマだったのだが、中でも浜辺の演技はすごくて、絵と生身の人間の等身や骨格の違いはあるものの、そこにめんまがいると言っても過言ではない存在感を見せていた。

『あの花』のめんまのような漫画やアニメのキャラクターを演じると、浜辺はハマる。中でも圧巻だったのが、前クールに放送されていた深夜ドラマ『賭ケグルイ』(TBS系)だ。本作はギャンブルが公認されている私立高校を舞台としたドラマで、生徒たちはギャンブルの勝敗によって出来上がった階級制度に苦しめられていた。

 そこに、浜辺が演じる謎の転校生・蛇喰(じゃばみ)夢子がやってくる。彼女はギャンブルの天才で、相手のイカサマを見抜くと同時に、自分の快楽のために全財産を賭けるような危険な勝負を次々と仕掛けていく。

 トランプ等のカードゲームを見せるギャンブルモノの映像作品は、画面の動きが少ないため、淡白なものとなってしまう。『賭ケグルイ』は、その欠点を役者の芝居で補っていて、過剰なセリフ回しや心理描写がとにかく派手な作品となっていた。そんな中、夢子のライバル役を演じた森川葵は、水を得た魚のように過剰な内面をさらけ出す芝居をしていた。飛び道具的な過剰な芝居をやらせたら今の森川は若手女優ではダントツだが、そんな森川と拮抗するくらい、浜辺はヤバイ演技をしていた。

 極限状態で借金を何億円も背負いながら、ギャンブルに没頭していく夢子の表情は、性的興奮を覚えているようなエロティックなもので、10代の若手女優にこんないやらしい表情をさせていいのか? とドキドキした。

 一見、清純派美少女に見えるが、こちらの想像を超えた表情を次々と見せてくれる浜辺。「私すごいでしょ」というドヤ顔感が透けて見えて、イラつかされるところもあるのだが、それも含めて目が離せない。もはや、浜辺は、その「圧の強さ」を、演技のスタイルとして完全に自分のものにしたといえるだろう。今後どうなるのか、末恐ろしい存在である。

(文=成馬零一)

●なりま・れいいち
1976年生まれ。ライター、ドラマ評論家。ドラマ評を中心に雑誌、ウェブ等で幅広く執筆。単著に『TVドラマは、ジャニーズものだけ見ろ!』(宝島社新書)、『キャラクタードラマの誕生:テレビドラマを更新する6人の脚本家』(河出書房新社)がある。

◆「女優の花道」過去記事はこちらから◆

最終更新:2018/05/15 14:00
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