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ブランドイメージ失墜の危機……丸善雄松堂書店の“ひどいリニューアル問題”は予想外に深い傷

丸善雄松堂株式会社のコーポレートサイトより

 日本の文化を担ってきた老舗書店が、どうなってしまっているのか――。

 日本有数の書店・出版グループの丸善が、ある店舗のリニューアルをめぐる問題で急速に企業イメージを悪化させている。

 発端となったのは、書店員のつくるフリーペーパーとして読書好きには知られていた『にゃわら版』の制作者・かいぬし氏が、勤務先であった立教大学内の丸善雄松堂書店を辞めるに至った経緯をブログで公開したこと。

 すでに多数のアクセスを集めているが、そこには驚きの内容が記されていた。

・勤続10年のかいぬし氏をはじめ、ベテランスタッフも7人が退職。12月に入った新人もほとんど退職

・大学内の書店なのにまともに教科書販売ができなかった

・退職にあたって「もうにゃわら版は書きませんという念書」を要求された

 などなど……。
https://nyawaraban2014.amebaownd.com/posts/4135126

 問題の発端は、昨年の店内のリニューアル。

 この際、丸善雄松堂書店は店舗面積を半分にした上で見栄えのよい書店を追求。洋書を並べてかっこよく見せる一方で、大学の授業で指定されている教科書が置かれなくなったり、毎年売れる簿記のフェアなどが行えなくなったり。

 オシャレ追求型書店によくある「見栄えはいいけど、中身はスカスカ」の極北になってしまったのだという。

 さらに、書店員の経験と知識もないがしろにされ、書店はバイトだけでも回るかのような扱いの果てにベテラン書店員は次々と辞めることを余儀なくされたというのである。

 丸善雄松堂は、グループ内の法人営業を中心とする企業。

 少々ややこしいが、現在の丸善は大日本印刷の子会社の丸善CHIホールディングスが母体。その中に、大学や研究施設などの法人営業を中心とする丸善雄松堂や、書店の丸善やジュンク堂を運営する丸善ジュンク堂書店。さらに、出版部門は学術部門の丸善出版株式会社や児童書の岩崎書店。さらに、図書館の運営を担う図書館流通センター(TRC)も丸善グループである。

 今回は、あくまで丸善の中の一子会社のやらかし。書店や出版部門の伝統を担う丸善は、そこまでひどいとは思いたくない。そんな声もネットでは散見される。

 だが、グループ内には、まだ多くの問題が。人数が限られているので、特定を避けるためにぼやかすが、最近、グループ内の出版部門の子会社を退職した社員は話す。

「とにかく仕事が忙しい。忙しいのはいいんですが、給料が安いんです。でも、出版社を希望して入ることができたのですから、安いのは構いません。でも、何年勤務しようとないんですよ、ボーナスが……」

 今どき、よほどのブラック企業でもない限り、雀の涙ほどの寸志であっても準備するもの。それすらないとは……。一気にブラック感が強まる。

 前述のかいぬし氏のブログでも、ベテラン書店員に最低賃金しか支払っていないことが発覚。これは、一種の「やりがい搾取」と取られても仕方ない。

 もともと丸善は本だけでなく、服や靴、ハヤシライスなども販売し、この国の生活文化を担ってきた企業。いくらグループ内の子会社のやらかしとはいえ、「丸善」という名前が大きく傷ついたことは間違いない。

 これを回復するには、膨大な時間がかかるだろう。
(文=是枝了以)

最終更新:2018/05/20 21:00
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