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天安門事件以来の抗議規模!? 個人投資家8,000人超が北京に集結も、当局が片っ端から拘束か

次々と拘束される個人投資家たち。Twitter「金融難民維権」の投稿より

 インターネットを通じて個人から投資資金を集め、中小企業や個人に資金を融通する、いわゆる「P2P(ピア・ツー・ピア)金融」業者の破綻が中国で相次ぎ、中国経済における新たなリスク要因となっている。P2P金融は、フィンテック分野で世界的に成長が期待され、中でも中国が一歩先を進んでいた。相次ぐ破綻は、急成長する中国ハイテク産業のつまずきともとれる。

 業者は高利をうたって投資を募っていたが、もちろん破綻すれば投資した金は戻ってこない。北京市では早速、個人投資家による大規模な抗議活動が行われたようだ。「風傳媒」(8月7日付)によると、120台以上ものバスが中国銀行保険監督管理委員会の周辺に集結したという。その列は、約3キロ離れた釣魚台國賓館まで達した。乗っていたのは、全国各地からやってきたP2P金融の被害者たち。抗議活動はSNSを通じて呼びかけられ、参加者は8,000人を超えている可能性もあるという。

 それが本当なら、天安門事件以来の規模の抗議活動といっていいだろう。しかし当局は、民衆の大規模な抗議集会に対し、おびただしい数の警察官を動員。「社会治安を乱す」として、参加者たちは次々に拘束され、辺りは早朝から物々しい雰囲気になった。Twitter(検閲を回避可能なVPNと呼ばれる仮想ネットワーク経由で書き込んだと思われる)には、抗議参加者が片っ端から連行される動画が多数投稿されている。ある参加者は、そこで不満をこうあらわにする。

「公安が理由も説明せず、市民の自由を制限している。隠したいことがどれだけあるというんだ。中国政府の暗部を隠すため? 警察は汚職官僚の走狗になっているが、全国のP2Pに投資された資金はどこにいったんだ? (P2Pは)汚職官僚が資金洗浄するための道具か?」

 ネット金融情報サイト「網貸之家」によると、6月末時点で正常に営業しているP2P業者は1,863社だったが、7月末には1,645社に減少。つまり、1カ月間に1割強がなくなっているが、うち165社が債務不履行などの問題を起こしているというのだ。6月と7月の累計で見ると、問題を抱える業者は228社に上るという。これまでに業者の破綻などによって被害を被った個人投資家の数は111万9,000人だった。その融資額は日本円で776億6,000万元(約1兆2,619億7,500万円)に上るが、それは中国P2P金融全体の投資額の7.7%を占めるという。まだ1,600社以上が営業していることを考えると、今後、この額はさらに膨らむ可能性も。2013年に発覚したシャドーバンキング問題を彷彿とさせる。

 米中貿易戦争や株価低迷に加え、今回の多額の債務不履行となると、中国経済の先行きはますます不透明さを増すだろう。

(文=大橋史彦)

最終更新:2018/08/15 21:00
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