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イモトアヤコら芸人の起用が多いのは理由あり!? ピコ太郎の天狗鼻を折った『下町ロケット』第3話

TBS系『下町ロケット』番組公式サイトより

 農業用トラクターのトランスミッション(変速機)の分解だけで、25分拡大スペシャルを押し切った驚異の熱血理系ドラマ『下町ロケット』(TBS系)。主演の阿部寛はこれまでにも『TRICK』(テレビ朝日系)で自称天才物理学者、映画『テルマエ・ロマエ』(2012年)で古代ローマ時代の設計技師を演じてきた理系バカのスペシャリストです。飽くなき探究心と情熱で、今週はどんな難問をクリアするのでしょうか? 『下町ロケット ゴースト』第3話を振り返りたいと思います。

(前回までのレビューはこちらから)

 佃航平(阿部寛)率いる弱小企業「佃製作所」は、ベンチャー企業「ギアゴースト」との平和的なM&Aを考えています。社員のことを第一に考える伊丹社長(尾上菊之助)と天才エンジニアである島津副社長(イモトアヤコ)が立ち上げた「ギアゴースト」と同じグループ会社になれば、トランスミッション開発のノウハウが手に入り、農業用トラクターの改良がいっきに進むからです。何よりもモノづくりに情熱を注ぐ伊丹や島津たちと、佃社長は一緒に仕事がしたかったのです。

 佃社長と技術開発部の山崎部長(安田顕)は実家の田植えをすることになった経理部長・殿村(立川談春)の手伝いに新潟県燕市へと向かいます。農業用トラクターがどのように使われているのか、自分の目で確かめようという目論みもありました。トランスミッション開発チームの立花(竹内涼真)とアキ(朝倉あき)も同行します。立花とアキは、チームリーダーである軽部(徳重聡)も誘いますが、軽部は休日にボランティア活動なんて論外だと「俺はパス!」と瞬時に断ります。軽部の変人ぶりは、すでに立花とアキは織り込み済みなので、2人は笑って受け流します。立花たちは、過去の2話ですっかり軽部のトリセツを学んだようです。我々視聴者も軽部の変人ぶりを毎週チェックするのが楽しみになってきました。奇人変人を受け入れる「佃製作所」はやっぱりいい職場です。

 殿村家の田植えには、「ギアゴースト」の伊丹と島津も呼ばれていました。裸足になったアキは田んぼに足を入れて、「うわっ、気持ちいい!」と楽しげに声を上げます。育ちの良さそうな伊丹社長も、いつもは新型バルブの開発に血眼になっている佃も泥だらけになって、大はしゃぎです。イモトアヤコ演じる天才エンジニアの島津は、故障したトラクターを見事に修理してみせます。立花たちが腰を痛めながらも1日の作業を終えると、美しい夕焼けが広がっていました。農家の人たちに役に立ちたいと、改めて心をひとつにする「佃製作所」と「ギアゴースト」でした。

 

■キンコメ今野vsピコ太郎のシリアス対決!!

 楽しかった週末が終わると、「佃製作所」には大きな問題が待ち構えていました。極秘に進めていたはずの「ギアゴースト」とのM&Aが、ロケット用バルブを提供している「帝国重工」になぜか漏れていたのです。「ギアゴースト」は特許侵害で15億円を請求されており、そんな危ない会社を合併することに「ちょっと待った」を掛けてきたのです。「帝国重工」審査部信用管理員の安本(古坂大魔王)が「佃製作所」の経営状況を調べに現われます。大企業って、本当に面倒くさいですね。

 スーツ姿のピコ太郎、いやエリート意識丸出しな安本に対応することになったのは、「佃製作所」の経理部係長の迫田(今野浩喜)です。経理部長の殿村は、父親(山本學)が病院に運ばれたため、この調査会に立ち会うことができません。部長代理の大役を預かった迫田係長は「佃製作所」の財務状況をひとつひとつ説明しますが、ピコ太郎のネチネチした追及に不安の色を隠せません。コント出身のキング・オブ・コメディ今野とピコ太郎とのシリアスバトルは、なかなかの見応えがありました。

 ピコ太郎から事前に請求されていなかった「ギアゴースト」合併後の長期計画書はないのかと問われ、ここまで善戦してきたキンコメ今野もお手上げです。そのとき、会議室のドアを開けて、颯爽と入ってきたのが殿村部長です。「帝国重工」の諮問内容を予測しいていた元銀行マンの殿村の手には、しっかりと合併後の計画書が握られていました。さすがは立川談志の愛弟子・立川談春です。

 吹けば飛ぶような中小企業だろうと舐めていた「佃製作所」の技術力と社員の団結力に、ピコ太郎はあっさり陥落です。「帝国重工」に戻り、「佃製作所」のM&Aは問題なしと上司である重役の的場(神田正輝)に報告。佃たちが開発した新型バルブを搭載したロケット用エンジンを見上げながら、宇宙航空部に勤める佃利菜(土屋太鳳)の横で「新型バルブを搭載することで10億円のコストが削減できる。10億の技術かぁ」と感心してみせるのでした。佃父子のモノづくりへの真っすぐな情熱に触れ、ピコ太郎はすっかり善人になってしまったようです。

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