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まるで『ジョジョ』のスタンド使い!? 異色カンフーアクション『アイアン・フィスト』

kanfus.jpg(C)2012 Universal Pictures

 今週紹介する新作映画は、西部劇とカンフーというややレトロな形式をそれぞれベースにしながら、斬新なセンスを加味することで現代的なエンタテインメントに仕上がった痛快アクション2作品だ。


 8月2日公開の『ローン・レンジャー』は、1950年代にテレビドラマが日本でも放映されるなど世界的な人気を博した往年の西部劇ヒーローを、ジョニー・デップと『ソーシャル・ネットワーク』(2010)のアーミー・ハマーの主演で新たに映画化したアクション大作。アメリカ先住民コマンチ族のミステリアスな男トント(デップ)は、復讐という悲願を果たすため、悪党一味の待ち伏せ攻撃で瀕死の重傷を負った郡検事ジョン(ハマー)を聖なる力でよみがえらせる。ジョンは黒いマスクで素性を隠し、白馬シルバーにまたがってローン・レンジャーとなり、トントとともに巨悪に立ち向かう。

 トント役のジョニー・デップに、監督ゴア・ヴァービンスキー、製作ジェリー・ブラッカイマーと『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズのチームが再結集。西部開拓時代のテキサスを舞台に、白塗りメイクにカラスの死骸を頭に乗せた先住民と、法に基づく正義を追求する堅物の白人レンジャーという、異色のコンビがぶつかり合いながら悪党どもを小気味よくやっつける冒険活劇を作り上げた。ちょっとした表情や動作の演技で爆笑を呼ぶデップと、真面目であるがゆえにデップとのやりとりが意外なおかしみを生むハマー、2人の「バディっぷり」が最高だ。暴走する列車を巧みに使ったスピード感あふれるアクションシーンでは、ブラッカイマー組らしい派手さだけでなく、CG合成などの特殊効果を極力意識させないリアルさへのこだわりも感じさせる。テンポ良い最近のアクションを好む若い層から往年の西部劇ファンまで、幅広い世代に支持されそうな娯楽作だ。

 続いて8月3日に封切られる『アイアン・フィスト』(R15+)は、ヒップホップ・アーティストで俳優としても活躍するRZAが、クエンティン・タランティーノによるサポート、イーライ・ロスの脚本参加を受けて、監督・主演・脚本・音楽の4役に挑んだ異色カンフーアクション。19世紀中国のとある宿場町で、名もない鍛冶屋(RZA)は、武装組織の抗争に巻き込まれて両腕を切り落とされてしまう。自ら作った鉄製の義手を装着した鍛冶屋は、アイアン・フィストとなって復讐の闘いに立ち上がる。

 全身に刀を仕込んだ若き武術家(リック・ユーン)、密命を帯びた不良役人(ラッセル・クロウ)、全身を真ちゅうに変える特殊能力を備えた殺し屋(デヴィッド・バウティスタ)、美しい装いの中に高い武闘能力を秘めた娼館の女主人(ルーシー・リュー)ら、キャラの立った敵味方が入り乱れて、目まぐるしい肉弾戦を繰り広げる。ワイヤーを駆使した空中戦に加え、怪人が瞬時に身体を金属化させたり、拳法の達人が奥義で龍を出現させたりするシーンに至っては、傑作漫画『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズの“スタンド使い”を連想させるほど。タランティーノ組の流れを汲む、バカバカしいほどの荒唐無稽さが逆にカッコいいバトルを、ぜひ多くのアクションファンに満喫していただきたい。
(文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉)

『ローン・レンジャー』作品情報
<http://eiga.com/movie/54517/>

『アイアン・フィスト』作品情報
<http://eiga.com/movie/77759/>

最終更新:2013/08/03 15:00
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