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「わざとぶつかる男」「ぶつかり痴漢」の危険 なぜ逮捕は難しいのか

 すれ違いざまに次々と痴漢行為をはたらく「痴漢おやじ」や、駅構内でわざと人にぶつかる「ぶつかり男」の様子を目撃者が撮影した動画がTwitterで公開され、物議を醸している。5月29日放送の『モーニングショー』(テレビ朝日系)では、「痴漢おやじ」と「ぶつかり男」について取り上げた。

 番組ではまず、5月24日午後10時頃、愛知県名古屋市栄区の繁華街に出没した「痴漢おやじ」のVTRを流した。「痴漢おやじ」は、背後から忍び寄るなどして、歩きながらすれ違いさまに次々と女性のお尻を触るという行為を繰り返し、1分半の間に6回の痴漢行為をはたらいた。動画には、道をキョロキョロし女性がいる方向に歩くジャージ姿の中年男性の姿が移っている。被害に遭った女性のひとりは、「お尻をつかまれる感じで触られました」と番組の取材に明かしているが、突然で一瞬の出来事に驚き声を上げる余裕もなかったという。その後、通報により警察が駆け付けたものの、“証拠”がなく中年男性は厳重注意を受けたのみで逮捕されるには至らなかったそうだ。

 他方、5月25日のJR新宿駅構内で撮影された「ぶつかり男」の映像動画では、20秒間に3人の女性にぶつかる男性の様子が映っている。こちらも、リュックを背負った男性は自ら女性のいる方向に歩み寄るなど、女性を狙い「わざと」ぶつかっているように見える。番組が街で女性50人に聞いたところ、50人中21人の女性が「ぶつかられた経験がある」と答え、ぶつかってきた相手は全員男性だったという。

 代表的な“ぶつかられ”パターンとしては、狙った女性を追跡して急に方向転換しぶつかってくるような「追跡型」、ぶつかられた女性が振り返ると相手が仁王立ちしているような「因縁型」、人の流れに逆行して歩き絶対に道を譲らない「我が道型」、ラッシュ時の階段で足を突き出しながら歩く「攻撃型」の4つが挙げられるという。いずれも大けがにつながりかねず、しかも見ず知らずの通りすがりの人による行為を予測するのも難しいだろう。

 人にわざわざぶつかる理由について、防犯ジャーナリストの清永賢二氏は、(1)女性と話すことに喜びを感じるが女性と話す勇気はない (2)ぶつかった相手が動揺する姿を見て楽しむ(つまりストレス発散)と分析。「ぶつかり男」に共通するのは「『悪い』という自覚はあるが犯罪ではないと思い込んでいる」ことだと述べていた。

 菅野朋子弁護士によると、「意図的にぶつかった場合、けがをした場合、暴行の故意が立証できれば傷害罪。故意が立証できなければ過失傷害罪」となるが、しかし「立証はほぼ難しい」。多くは人ごみで起こるため、「『わざとじゃなくてうっかりぶつかってしまった』と言われればそれまで」で、防犯カメラの映像があっても行為自体の立証が難しいという。今回、Twitterで話題となったJR新宿駅の映像でも難しいそうだ。すごく空いているところで敢えてぶつかっていることが明らかでなければ、故意認定ができず、また、自閉症や発達障害で距離感が取れないというケースもあり、「一概に故意でやっているとは言えないところもある」とのことだ。

 とはいえ、昨年7月には「ぶつかり」が恐ろしい事件を引き起こしている。兵庫県神戸市で、自称作家・ミュージシャンの60代男性が、JR三ノ宮駅のホームでスマートフォンを見ながら歩いていた50代女性に体当たりした結果、頭蓋骨骨折の重傷を負わせたとして逮捕されている。逮捕された男性は被害女性の歩きスマホを「悪い」と語ったそうだが、暴力行使していいことにはならない。わざとぶつかり、相手がホームから転落したり、乗り物に接触する可能性もあり、非常に危険な行為。「女性と話す勇気がない」「ストレス発散」では済まされない。

最終更新:2018/05/30 07:15
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