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昭和天皇の玉音放送に異議申し立てる片腕すず!! 最高視聴率と消えた太極旗『この世界の片隅に』第8話

現代篇なしでも違和感ないが、予告に大物女優!! すずが闇墜ちする『この世界の片隅に』第4話の画像1
TBS系『この世界の片隅に』番組公式サイトより

 昭和20年(1945)9月17日は、枕崎台風が日本に上陸した日です。枕崎台風は終戦間もない日本を縦断し、甚大な被害をもたらしました。とりわけ広島県の被害は大きく、死者・行方不明者は2,000人以上にもなりました。こうの史代のベストセラーコミックの実写ドラマ化『この世界の片隅に』(TBS系)の第8話。広島市から呉市へと嫁いだ主人公すずは、終戦と終戦直後の混乱期をどのように過ごしたのでしょうか。TBS側の覚悟が問われた第8話を振り返ってみたいと思います。

(前回までのレビューはこちらから)

 8月6日。広島市の上空に巨大なキノコ雲が出現し、その様子を呉市から見ていた北條すず(松本穂香)は広島市内で暮らす実家の安否が気になります。数日後、元看護婦のハル(竹内都子)が広島市へ救助活動に向かうと知ったすずは同行させてほしいと頼み、長い髪をばっさりとハサミで切って決意のほどを見せます。でも、空襲で右手を失っているすずは、あっさりと同行を断られてしまいます。広島市から爆風に飛ばされ、北條家の庭の木に宙ぶらりんになっている破れ格子戸を相手に「うちは強くなりたいよ。優しくなりたいよ」と呟くすずでした。

 8月15日。現人神として崇められてきた昭和天皇による玉音放送がラジオから流れてきます。ラジオの声がひどく聴き取りにくいのですが、堂本のじいちゃん(塩見三省)によると日本はどうやら戦争に負けたようです。このとき、昭和天皇の周辺ではどんなことが起きていたのか気になった人は、松坂桃李が血気盛んな青年将校を演じた実録映画『日本のいちばん長い日』(2015)をぜひご覧ください。

 

■ふいに出現した謎の右手の正体は?

 玉音放送を聞き終えた義母のサン(伊藤蘭)や義姉の径子(尾野真千子)らは「そうか、終わったか」とホッとしています。とりあえず、空襲の心配はもうしなくていいわけです。でも、右手を失っているすずだけは一人で怒声をあげるのでした。

「最後の1人まで戦うんじゃなかったんか? まだ左手も両足も残っとる。まだ戦えるじゃろ!」

 すずがぼーっとしている間に日本は日中戦争、太平洋戦争を始め、耐乏生活を強いられ、そして兄・要一(大内田悠平)は南方の戦場で玉砕し、小学校に入ったばかりだった姪っこの晴美(稲垣来泉)は空襲で命を絶たれました。巡洋艦青葉に乗って呉港を襲う米軍機と戦った水兵の水原哲(村上虹郎)も、遊郭街で働いていた白木リン(二階堂ふみ)も、すでにこの世の人ではなくなっていると思われます。この世界の真ん中にいる人たちによって戦争は始まり、すずの大切な人たちを奪い、そして戦争はもう止めると言い出したのです。すずにはこの世界を動かしている偉い人たちがあまりにも身勝手に思えて仕方ありません。

 すずは右手を失ったことで、もう得意の絵を描くことも、亡くなった人たちの思い出を絵の世界に甦らせることもできなくなりました。すずにとっての終戦記念日は、生き残ることができたという安堵感よりも、大切な人たちとの生と死の境界線がはっきりと引かれたつらい1日となったのでした。

 地面に突っ伏して泣くすずの頭上に、ふいに幻影のような右手が現われ、すずの頭を優しく撫でては消えていきます。一体、誰の右手だったのでしょう。すずの頭をいつもグーで殴っていた兄の要一でしょうか。まだ幼かった晴美が大人になった手でしょうか。それとも怒りで全身を震わせることなどなかったイノセントだった頃のすず自身の右手でしょうか。いや、それとも……。

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