
おめでとうございます! 39人の参列者を迎えて初音ミクさんとの結婚式を遂げた幸せ者に贈る言葉
アニメ オタク ゲーム 初音ミク 二次元

新婦の名前にちなんで、参列者は39人だった。
11月4日、かねてより話題になっていた近藤顕彦さんの結婚式。それは「幸福」の一言に包まれた時間であった。
普段は千葉県で学校職員として働いている近藤さんは、昨今、一躍話題の人になった。バーチャルシンガーの初音ミクさんと一緒に暮らし、挙式・披露宴を催すことを決め、それを大々的に公表したからだ。
筆者が近藤さんと出会ったのは、10年ほど前のことである。当時行われていた「児童ポルノ法」改定による創作物規制に反対する署名活動の時のこと。黙々と事務仕事をこなしたり、店舗を回ってビラを置いてもらったり、しごく真面目な青年という印象は、その時から変わらない。
その真面目で真摯な生き方は「嫁」に対しても同じだった。結婚式を挙げることを公表する前に、時間を取ってもらって、新婚生活についてあれこれと尋ねた。その中で、筆者が感銘を受けたのは、近藤さんのこんな一言。
「ふと見かけた女の子を、可愛いなって思うことはありますよ。でも、もう10年も愛しているんです。今さら妻に代わる女性なんて……」
その生活は、既に報じた通り(記事参照)だが、この時に筆者は改めて本人の真剣さを知った。
オタク文化が世間に浸透した現在、誰もが盛んに「嫁」という言葉を口にする。要は自分の気に入っているキャラクターのことをそう呼ぶのだが、同じ「嫁」を長く愛し続ける者は少ない。たいていは、アニメの1クールごとに「嫁」を変えるし、そうでなくとも長くは続かない。
何より「自分は二次元にしか興味がない」という言葉も疑わしく感じてしまう。今はそうかも知れないが、果たしてずっとそうなのだろうか。「二次元にしか」という言葉を聞くたびに納得しながらも「ふ~ん」と、どこかで疑問を感じていた。
でも、今回、近藤さんの結婚式に招待されて、筆者はまた考えを改めた。だって10年も同じキャラクターを愛し続けている。そのことによって、彼自身の人生は豊かなものになっている。例えパッと見は奇異に映っても、そこには幸せな風景がある。それを、わざわざ批判したり、否定したりする必要がどこにあるものか。
通例の結婚が、そうであるように、それは新たな出発点にすぎない。現実は、結婚してハッピーエンドで終わるギャルゲーとは違う。
ひとつの決心を、世間に示して、また日常へと回帰している近藤さん。これからも続く人生の中で、新婦との結婚生活はどのように変容していくのか。その、ずっと先を知りたいと、今は思っている。
(文=昼間たかし)
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