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嘘吐き政治家たちが逃亡したあとで……「東京ビッグサイト使用制限問題」同人誌の地獄はこれから

日本展示会協会会長・石積忠夫氏

 いよいよ、今年から東京オリンピックに向けて東京ビッグサイトの使用制限が本格化する。

 それを前にして、1月9日に港区のANAインターコンチネンタルホテル東京で、日本展示会協会の新年会が開催された。

 新年会と言えども、そこはビジネス、不安材料を声高に述べることは取引先や金融機関に対して不信感を抱かせる。それゆえにか、昨年まで盛んに言及された東京ビッグサイトの使用制限問題は、ほとんど突っ込まれなかった。

 会の冒頭で挨拶に立った協会の石積忠夫会長は「8万社出展できず、2兆円の売り上げを失い、装飾業社の仕事は半分になる」とし、使用制限に対する各種の運動が実を結ばなかったことに「私自身も忸怩たる思いで、申し訳ない気持ちでいっぱいだ」とは述べた。しかし、その挨拶も極めて前向きな方向でまとめられた。

 続いて壇上には、与党議員や関係省庁の担当者が次々と登壇し挨拶。そこでも、やはり展示会産業への期待を込めた言葉が並べられたのである。とりわけ注目されたのは、名古屋市の河村たかし市長。愛知県と名古屋は、巨大な展示会場を次々と建設中。そこには、東京ビッグサイトの使用が制限されたのを受けて、展示会をこちらへ招こうという意図が見て取れた。急用のため、ビデオメッセージとなった玉城デニー沖縄県知事の挨拶も同様であった。

 一方、これまで東京ビッグサイトの使用制限問題について言及してきた政治家は、こぞって逃亡したのが見て取れた。

 昨年、この新年会で「2兆円の損失を回避し、オリンピックが日本経済にプラスになるような手立てを考えなければいけない」と言及した元経済再生大臣の甘利明衆議院議員の姿もなかった。

 甘利議員だけではない。昨年までは、マンガ・アニメ・ゲームに関する議員連盟の会長である古屋圭司衆議院議員をはじめ、幾人もの政治家が「私が解決する」という発言をしていたが、彼らはもうダンマリを決め込み、逃亡している。そうした彼らを批判する声が聞かれないのは、そんなことをしたところで1円の儲けも生み出さないからに他ならない。

 さて、いかに前向きになろうとも、東京ビッグサイトの使用制限による損失が、これからやってくるのは明らかだ。同人誌印刷所の関係者は、コミックマーケットのみならず、ほかの同人誌即売会も減少することで損失は莫大なものになるのではないかという。

「同人作家が発行部数を抑えることで、場合によっては売上の20%減もあり得ます。これは、従業員をリストラすることも考えなくてはならないほどの減収です。さらに、その減収により金融機関の信頼を失うのは、もっと怖い……」

 頒布される場所を補う方法として、同人誌書店と共に積極的にフェアを行うことも考えられるが、すでに印刷所によっては「発行部数の5割以上を最初から同人誌書店に納品している」(同)という状況。即売会の減少分まで補えるかは疑わしいという。

 問題はなんら解決されぬまま、ついに始まる東京ビッグサイトの使用制限は、どんな地獄をもたらすのか。関係者は生き残るために知恵を絞っている。
(文=昼間たかし)

最終更新:2019/01/21 22:30
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