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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.520

人種問題を描いたオスカー候補のバディムービー『グリーンブック』『ブラック・クランズマン』

人種問題を描いたオスカー候補のバディムービー『グリーンブック』『ブラック・クランズマン』の画像1
アカデミー賞に作品賞、主演男優賞、助演男優賞、脚本賞ほか5部門にノミネートされている『グリーンブック』。

 2月25日(日本時間2月26日)に発表される米国アカデミー賞で作品賞ほか各部門の有力作と目されているのが、ピーター・ファレリー監督の『グリーンブック』とスパイク・リー監督の『ブラック・クランズマン』だ。どちらも“人種差別”を扱った実録バディムービー。コメディを得意とするピーター・ファレリー監督、アフリカ系米国人の視点から辛口映画を撮り続けるスパイク・リー監督のそれぞれの持ち味が生かされた作品となっている。

 LA暴動を予見した『ドゥ・ザ・ライト・シング』(89)でのブレイク以降、ブラックムービーを牽引してきたスパイク・リー監督。近年は低迷気味だったが、元潜入捜査官ロン・ストールワースの原作小説をベースにした『ブラック・クランズマン』は、デンゼル・ワシントン主演作『マルコムX』(92)と並ぶ彼の代表作となりそうだ。白人至上主義を唱える秘密結社KKK (クー・クラック・クラン)を黒人刑事が潜入捜査したという冗談のような本当の話を描いている。名優デンゼル・ワシントンの息子ジョン・デヴィッド・ワシントンの初主演作というのも興味を惹く。

人種問題を描いたオスカー候補のバディムービー『グリーンブック』『ブラック・クランズマン』の画像2
『ブラック・クランズマン』はアカデミー賞作品賞、監督賞、助演男優賞、作曲賞など6部門にノミネートされている。

 舞台は1970年代の米国コロラド州。ロン(ジョン・デヴィッド・ワシントン)はコロラドスプリングス警察署の初の黒人刑事となる。目指すは警察界のジャッキー・ロビンソンだが、ロンも黒人初のメジャーリーガーとなったジャッキー・ロビンソン同様に仕事仲間からの偏見に悩まされる。そんな彼の初めての捜査は、過激さで恐れられていた“黒人解放組織”ブラックパンサー党の演説集会へ潜入すること。黒人のロンでなければ務まらない任務だった。

 次なるロンの潜入先はKKK。新聞広告でKKKがメンバーを募集していることを知り、さっそく電話するロン。黒人がいかに愚かな人種であるかを捲し立て、KKK幹部にすっかり気に入られる。ロンとコンビを組むのは、白人刑事のフィリップ(アダム・ドライバー)。ロンが電話でKKKに近づき、実際にはフィリップが接触することに。ロンとフィリップは、まるで二人羽織のような奇妙な潜入捜査を始める。

 電話で差別主義者に巧みに成りすますロン。彼の台詞には真実味があった。それはなぜか? ロンはこれまでに自分が言われて傷ついてきた言葉や言われるといちばん嫌なことを、そのまま口にした。ロンが自虐的な言葉を吐けば吐くほど、KKKの幹部は大喜びした。潜入捜査とはいえ、このときのロンはどんな気持ちだったのだろうか。

 シリアスな社会派ドラマとブラックな笑いの世界とのギリギリの狭間を狙った『ブラック・クランズマン』。映画界における人種差別についてのトリビアも多く盛り込まれている。1915年に公開されたD・W・グリフィス監督の『國民の創生』はハリウッド初の長編映画として有名だが、KKKはこの古典映画の中では正義の覆面ヒーローとして描かれている。その後もハリウッドでは白人ヒーローが活躍する映画ばかりが製作され続け、その反動から70年代になって黒人ヒーローを主人公にした『黒いジャガー』(71)や『スーパーフライ』(72)などの“ブラックスプロイテーション”が誕生した。ロンが勤める警察署だけでなく、スパイク・リー監督が暮らす映画界も偏見だらけの歴史の上に成り立っている。

 2016年のアカデミー賞授賞式に呼ばれていたスパイク・リー監督は「俳優部門の候補者は白人ばかり」と批判し、出席をボイコットする騒ぎがあった。この一件がなければ、マーベル初の黒人ヒーローもの『ブラックパンサー』(18)が今年のアカデミー賞作品賞にノミネートされることもなかっただろう。

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