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ビートたけしのバイク事故、又吉直樹の芥川賞……ラリー遠田『教養としての平成お笑い史』

テレビの外で活躍する芸人は今後も増える

――執筆にあたって苦労したことはありますか?

ラリー 平成初期の事件は、自分自身が当時まだ子供だったので、直接の体験としてはあまり印象に残っていません。でも、昔の出来事は資料が豊富にあるので、事件の概要はつかみやすいんです。

 一方、最近の事件は、私自身もお笑い好きの読者も誰もが知っていることです。でも、新しい出来事なのでそれをどう解釈すべきかという評価がまだ定まっていない、という難しさがあります。昔のことも最近のことも、書くときにはそれぞれに考えるべきところはありました。

――お笑いに関して言うと、平成とはどういう時代だったのでしょうか?

ラリー テレビに限定して言うなら「昭和に確立されたバラエティ番組の作り方が完成されて、行くところまで行った時代」ということになると思います。その象徴が2014年の『笑っていいとも!』(フジテレビ系)終了です。あの番組の最終回特番で、大物芸人たちの豪華共演が話題になりましたが、昭和の時代から続いたバラエティ番組の歴史は、あそこでいったん大団円を迎えたのではないかと思いました。

 例えば、ダウンタウンととんねるずの共演自体が話題になるのは、彼らがそれだけ強い存在感を持ったスターだったからです。それより下の世代の芸人では、誰と誰が共演してもそれほどの驚きはありません。

 今後も、時代に合わせて面白いバラエティ番組はたくさん出てくるとは思いますが、『笑っていいとも!』や『オレたちひょうきん族』(同)のような番組はもう出てこないかもしれない。あの場面を見ていてそういう意味での「終わり」を感じました。

 本書で取り上げている14の事件の中で、最近の事件である「又吉直樹、芥川賞受賞」と「ピコ太郎『PPAP』が世界中で大ヒット」だけは、地上波テレビの枠の外で起こった事件なんですよね。この2つに象徴されるように、テレビの外側の世界で芸人が活躍する事例は今後も増えていくと思います。

――ラリーさん自身は平成時代にどんなお笑いを見てきたんでしょうか?

ラリー 私自身は、中高生の頃に『ごっつええ感じ』(同)や『ガキの使いやあらへんで!!』(日本テレビ系)を見てダウンタウンにハマった典型的なダウンタウン世代のお笑いファンです。それまでにもドリフや志村けんやビートたけしやウッチャンナンチャンの番組は好きで見ていましたが、ダウンタウンの笑いの感覚はそれらとは根本的に違っていた。そこに衝撃を受けました。

――ちなみに、時代が昭和から平成に変わったときのことは覚えていますか?

ラリー 小学3年生だったのでうっすらと覚えています。テレビからCMやバラエティ番組がすべて消えて、たしか延々と皇居のお堀の映像みたいなのが映し出されていたような記憶があります。テレビ全体が喪に服している感じが印象に残っています。2011年の東日本大震災のときにもそうやってテレビが一色に染まる状態になり、そのときのことを思い出しました。

――本書をどういう人に読んでほしいですか?

ラリー 昭和生まれの人たちはもちろん、平成生まれの若い人たちにも読んでもらいたいですね。本書の担当編集者は平成生まれなので、この本の前半で書かれている出来事はほとんど知らないようでした。そういう人が読むと「こんなことがあったのか」と新鮮な感覚で楽しんでもらえると思います。

 この本に載っているようなお笑い史に残る事件は、お笑いファンにもそうではない人にも共通の話題として興味を持ってもらえるものだと思います。ぜひ多くの人に読んでいただきたいですね。
(取材・文=編集部)

●ラリー遠田
1979年生まれ。東京大学文学部卒業。テレビ番組制作会社を経て、ライター、お笑い評論家として多方面で活動。お笑いムック『コメ旬』(キネマ旬報社)の編集長を務める。

最終更新:2019/03/26 14:39
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