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美し過ぎる〇〇に乗っかりたいおじさんが勝海麻衣を生んだ? 騒動の裏にある問題2つ

美し過ぎる〇〇に乗っかりたいおじさんが勝海麻衣を生んだ? 騒動の裏にある問題2つの画像1
勝海麻衣 公式インスタグラム(@katsumi0411)より

「美し過ぎる銭湯絵師」勝海麻衣氏がライブペインティングイベントにおいて、イラストレーター猫将軍氏の作品に酷似した絵を描いた騒動は収まる気配を見せない。東京五輪に合わせ都が展開する文化イベント『Tokyo Tokyo FESTIVAL』のうちの一つが銭湯のペンキ絵のアートプロジェクト『TOKYO SENTO Festival 2020』だ。そこから勝海氏は「このイベントにあわせプロデュースされた存在なのではないか」という疑惑もネット上でささやかれている。勝海氏騒動の裏にある問題を考えていきたい。

そもそも、銭湯は減っている――銭湯に行ったことがないのに銭湯が懐かしいのはなぜか

 東京オリンピックに合わせ、日本文化を世界に発信したいという思惑はよくわかる。リオオリンピックの閉会式でもバトンを渡された安倍晋三首相がマリオのコスプレをしていたが、アニメや漫画、ゲームといった「クールジャパン」の方がよほど銭湯より外国人にとってもメジャーだろう。

 しかし一方で、こういった文化についていけなかったり、拒否感を示す層も一定数いるのはわかる。オタクであっても、国が主導となりクールジャパンを展開することを嫌がる人もいるだろう。一方で「銭湯」は真逆の強さがある。老若男女にフィットできるノスタルジーがあるのだ。「三丁目の夕日」は令和でも強い。

 しかし「銭湯のノスタルジー」といいつつ、私は一度も銭湯に行ったことがない。スーパー銭湯や健康ランドしか行ったことがなく、こういう人は少なくないはずだ。

※銭湯は都道府県ごとに入場料の規定があり、東京都の場合大人は460円。一方スーパー銭湯や健康ランドなどは値段の規制がない。

 なぜ銭湯に行ったことがないかというと、近所にないからだ。そして事実、銭湯の数は減り続けている。東京都の情報サイト「東京くらしWEB」を見ると、平成17年には1,025あった東京都内の銭湯は、29年には562軒と、12年でほぼ半減している。

 行ったことのない場所、したことのない経験に懐かさや情緒を感じるのは人間の想像力のすばらしさでもあるが、ノスタルジーをくすぐられて、なんかいい、となった状態は思考停止にもつながりかねないという過去の事例に「江戸しぐさ騒動」がる。

 江戸しぐさとはNPO法人江戸しぐさが提唱・普及しているもので、雨の日に道ですれ違うとき、互いの傘を外側に傾け相手が濡れないようにする「傘かしげ」などが紹介されており「江戸時代の商人たちのマナー」としてACジャパンのCMでも紹介された。「いい話」ではあるのだが、江戸時代にそういったしぐさが実在していたという歴史的証拠はない、と騒動になったのだ。

 アニメや漫画やゲームは嫌いな人もいる。一方「何か懐かしくて、歴史的な情緒があって好ましいもの」の前では多くの人は「なんかいいよね」になってしまう。実際の銭湯に一度も行ったことがないのに、数十年続いた銭湯の最後の一日がテレビで放送されると、体験したことがない懐かしさが失われてしまうことに涙するのだ。

 そのノスタルジー自体は何ら悪くないが、一方で、金を稼ごうとする人にしてみれば、受け取る側が深く考えなくなりがちなノスタルジー領域はビジネスチャンスになるのではないだろうか。

 もちろん銭湯にかかわる人たちのほとんどは真っ当に仕事をしているのだろうが、今回の騒動には「銭湯のノスタルジー」が利用された体は感じる。

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