
7日に行われたWBSS(ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ)バンタム級トーナメント決勝で、主要2団体王者の井上尚弥が、WBA世界スーパー王者のノニト・ドネアを3-0の判定で下して優勝。名声とともに、莫大な富を手にする可能性が生まれてきた。
高校時代から将来を嘱望され、無敗で3階級王者にたどり着いた井上にとっては、WBSSも通過点だった。決勝の相手は、彼の上を行く5階級制覇の難敵だったが、中盤以降は危なげない試合を展開し、11回に奪ったダウンは、レフェリーがテンカウントを数える“幻のKO勝ち”。試合後には、ボクシング史上に残るビッグマッチを手掛けてきた米興行界の最大手のトップランク社とも契約が決まり、少なくとも今後2試合はアメリカで行う予定だ。週刊誌のスポーツ担当記者がいう。
「日本では“稼げるスポーツ”という印象が薄いボクシングですが、海外のトップクラスの選手が得るファイトマネーは天文学レベルです。日本人が絡むタイトルマッチの最高記録は、1994年に行われた辰吉丈一郎対薬師寺保栄の日本人対決で、両者のファイトマネーは1億円以上でしたが、海外の最高記録はその2ケタ上。2015年のパッキャオ対メイウェザー戦では、パッキャオは180億円、メイウェザーは280億円を稼いだと見られています。ここまでの大金を得られたのは、ペイパービュー(=有料放送)が発達しているからで、同戦では1万円以上するペイパービューの購入者数が500万件近くに達したため、2人はそのような大金を得ました」(スポーツ担当記者)
WBSS決勝の井上のファイトマネーは1億円前後と見られているが、試合後に海外の関係者からは「8ケタ(1000万ドル≒10億円)の価値がある」との発言も登場。ボクシングに詳しいスポーツライターはいう。
「ボクシングの本場のアメリカではかつて、軽量級は見向きもされず、ビッグマッチの前座扱いでした。それを変えたのがフィリピン出身のパッキャオです。軽量級出身の彼が快進撃を続けることで、フィリピン系住民が熱狂し、境遇が近い中南米系住民を巻き込んで大ブームになりました。フィリピンや中南米には軽量級の良い選手が多くいますが、フィリピン系や中南米系住民は熱狂的なボクシングファンが多いので、興行界は『軽量級も金になる』と、注目し始めており、井上の渡米は絶好のタイミングです。アメリカでは型破りなボクサーの方がウケる傾向があるので、玄人好みの井上は最初苦労するかもしれませんが、本場の実力者を倒していけば、10億円単位のビッグマッチも夢ではないでしょう」(スポーツライター)
親子鷹として知られる井上だが、こぶし1つで大金を稼ぐのがいよいよ現実的になってきたようだ。