
「僕の脳は上書きしかされない」バイきんぐ西村瑞樹の本当の“すごみ”
お笑い インタビュー バイきんぐ 西村瑞樹

「キングオブコント2012」で優勝。無名のコンビは一夜にしてその名を世間に轟かせた。その後、ツッコミの小峠英二はそのキャラと抜群の返しでバラエティ番組には欠かせない存在となったが、今その「じゃない方」、西村瑞樹が主にロケ界をざわつかせている。素なのか、計算なのか、西村の言動は「サイコパス」と言われながらも、不思議と嫌悪感を抱かせない。そんな西村が初の著書『ジグソーパズル』(ワニブックス)を上梓。謎多き男、西村の「ラストピース」とは――。
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――『ジグソーパズル』拝読させていただきました。そもそも、どういうきっかけで本を書こうと思われたのですか?
西村 もともとは「産経プラス」というアプリでコラムを連載してたんです。それで、ゆくゆくは本に……みたいな。マネジャーからも「出そうよ!」ってプッシュがありまして、いろんな方のおかげで出版することができました。
――コラムを書くのは楽しかったですか?
西村 いやぁ、ちょっと面倒くさいなと思いました。最初は月1だったのが、おかげさまでご好評いただいて、隔週になったんですよ。「おいおい、マジかよ」と思って。「なんでこんなしんどいことをそんなにやらなきゃいけないんだ!?」とメチャクチャ嫌でしたね(笑)。「先週書いたばっかりなのに、また書くの!?」って。
――ものすごくわかります(笑)。テーマの設定とか、ご自分で考えていたんでしょうか?
西村 全然テーマとかなくて、なんでもOKで。文章に合った写真を1個つけるって感じでやってたので、あはは。なので、本もその写真そのまま使ってます。
――フリーテーマだと、かえって難しくなかったですか?
西村 いやぁ、僕こういうのやったことがないので、逆に難しいとかもまったくなかったですね! 次何書こうかな~って感じで。
――最近だと、ハライチ・岩井勇気さんの本(『僕の人生には事件が起きない』新潮社)がベストセラーになりましたが、意識はされていましたか?
西村 意識も何も(笑)。僕は何かを伝えたいとか、「僕はこういうふうに思ってるんだ」みたいなのも、まったくないんでね。ただただ締め切りが近づいてきて、それをこなすために文章を書いてただけ。
――最後に突然「においが取れない帽子は冷凍すると菌が死ぬ」とか、お役立ち生活情報が入ってたり、油断ならない。構成が独特なんです。
西村 なんでしょうね。普通に終わるのもあれというか……文章の最後はちょっと考えてましたね。普通には終わりたくないなっていうのがあって。たぶんその時はたまたま面白いオチが思い浮かばなかったので、「なんかプチ情報でも載せてやろうかな」と思って書いたんでしょうね(笑)。
――西村さんは、なんとなく全体像が見えている中で文章を書き始めるタイプですか? それとも、とりあえず書き始める感じ?
西村 最初の頃はまだ出し尽くしてないんで、こういうので書こうって決めて書いてたんですけどね。だんだんネタがなくなってきて、本当に「さて、どうしよう」ってなって、でも書いているうちに「あ、そういえばこういうのあったな」って出てきたりとか。行き当たりばったりでしたね。
――でも記憶力がすごいというか、小さい頃のお話を、すごく鮮明に覚えてらっしゃる。
西村 たまたまかもしれないですね。僕にとって思い入れがあったから覚えてたんだと思うんですけど。小学校の幼なじみといまだに飲んだりするんですよ。で、そいつが話すエピソードはまったく覚えてない。「そんなことあったっけ?」って。そいつにとっては思い出深いのかもしれないですけど、僕は覚えてないことがほとんどです。でも……記憶力はまぁいいほうかもしれない。ネタもすぐ覚えるんですよ、僕。
――本にも書いてらっしゃいました。
西村 ただ、すぐ忘れるんですよ。単独ライブまでにネタを覚えるのはすぐできるんですけど、ライブ終わったらすぐ忘れる。たとえば単独ライブ終わって2カ月後にテレビでネタ番組があるから、じゃあ単独でやったネタやろうかってなったら、僕はまた一から覚えなきゃいけない。
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