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働き口は減ってるのに…3月の“現金給与額”が上昇!?  統計を分析して見えた悲惨な現実

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 まさに、“統計マジック”だろう。

 変異株が猛威を振るい、新型コロナウイルスの感染が拡大し、東京都などには3度目となる緊急事態宣言が出された。経済活動が低迷し、雇用状況が悪化を続ける中、3月の給与が上昇に転じたのだ。

 厚生労働省が発表した3月の毎月勤労統計調査(速報)によると、3月の1人当たりの現金給与総額は、前年同月比0.2%増の28万2164円になった。新型コロナ禍により、経済活動が制限される中で、現金給与総額は減少が続いていた。増加に転じたのは20年2月以来13カ月ぶりだ。

 ところが、その内容をつぶさに見ると、就業形態別では正社員など一般労働者が前年比0.3%減の36万5804円、パートタイム労働者が同0.8%減の9万6350円と、いずれも前年を下回っている。

 労働協約、就業規則等によってあらかじめ定められている支給条件、算定方法によって支給される基本給、家族手当、超過労働手当を含んだ「きまって支給される給与」(定期給与)も、一般労働者が前年比0.3%減の34万12円、パートタイム労働者が同0.8%減の9万4501円と、いずれも前年を下回った。

 時間外手当、早朝出勤手当、休日出勤手当、深夜手当等などの「所定外給与」も、一般労働者が前年比6.4%減の2万5197円、パートタイム労働者が同18.8%減の2375円と大幅に減少している。

 ボーナスなどの「特別に支払われた給与」も、一般労働者が前年比1.2%減の2万5792円、パートタイム労働者が同0.9%減の1849円と、いずれの給与項目でも減少している。

 一方、月間の実労働時間数では、総実労働時間が一般労働者は前年比0.5%増の164.3時間、パートタイム労働者は同2.1%減の78.3時間と、一般労働者では僅かながら増加し、パートタイム労働者では減少している。

 2015年を100として指数化した賃金指数の前年比の動きを見ると、2020年4月以降、現金給与総額の前年比はマイナスで推移し、2021年3月に13カ月ぶりにプラスに転じた。だが、一般労働者の指数の動きでは、2020年4月以降、マイナスの動きが続いており、2021年3月もマイナス0.3%となっている。

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 また、パートタイム労働者の指数の動きは、2020年6、7、10、12月は前年比プラスだったが、2021年の1~3月はマイナスで推移、3月はマイナス0.8%となった。

 では、すべての給与項目で、一般労働者、パートタイム労働者とも減少し、賃金指数の推移でも年比でマイナス推移しているにも関わらず、何故、1人当たりの現金給与総額が増加に転じたのか――。

 その“統計マジック”を解くカギは、雇用者数にある。

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