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『家、ついて行ってイイですか?』いつ病気になるかわからないから…短い間でもタワマンに住んでいる夫婦

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『家、ついて行ってイイですか?』(テレビ東京系)

 6月2日放送『家、ついて行ってイイですか?』(テレビ東京系)は、題して「人生一度きり 〇〇に熱く打ち込む人SP」。傍から見たら理解不能なことでも、それが本人にとっては生きる糧となっている。そんな人生の業がよくわかる1時間だった。

カップ麺と100均の日々でタワマン入居が可能に

 神奈川県・鶴見駅でスタッフが声を掛けたのは、犬の散歩をしていた57歳の女性。とても上品そうで、いかにもセレブといった感じだ。「タクシー代お支払いするので、家ついて行ってイイですか?」と尋ねると、彼女は「タクシー代いらない」と即答。「(家は)ここだから」と彼女が指差したのは、駅前にあるタワーマンションだった。ここの27階、角部屋に住んでいるらしい。やっぱり、セレブ! あと、「角部屋」と強調するところにプライドを感じなくもない。当然、彼女は訪問を快諾してくれた。家を自慢したい気持ちもあるのでは? ならば、セレブな住居を早く見に行こうではないか。

 ……と思いきや、その途中に通りかかった駐車場を指して彼女は言った。

「私の時給1,020円のバイト先。でもウチ、車ないよ」

 タワマンで生活しているのに、彼女は週5でアルバイトをしているそうだ。はて?

 というわけで、ご自宅に到着。どうやら、60歳の旦那さんもすでに仕事から帰宅していたらしい。職業は通信会社の管理本部長さんだそうだ。

 さて、リビングに足を踏み入れると……凄い! めちゃめちゃお洒落なお部屋だし、大きな窓から見える景色は絶景でしかない。外を見ると、羽田空港から横浜ランドマークタワーまで余裕で見渡すことができる。角部屋ダイレクトウインドウは大正義!

 もちろん、この部屋は持ち家である。価格は8,210万円で、毎月のローン返済は32万円だそうだ。ちょっと、庶民には考えられない額である。やはり、2人は勝ち組なんだな? 窓からふと下を見下ろすと、茶色いマンションがあった。

奥さん 「あそこに住んでたんです。いつも、非常階段に座って毎晩(今のマンションを)見てた。『(いつか)あそこに行けるかな~?』って」
ご主人 「やっぱり人生1回しかないから、後悔のないように引っ越した。節約してね」
奥さん 「だから、今でも(夫は手作りの)おにぎり持って会社行きます」
――じゃあ、お2人は余裕で暮らしているわけじゃないんですか?
ご主人 「全然!」
奥さん 「余裕じゃない」

 奥さんが週5でバイトをしている理由がやっとわかった。切り詰めて切り詰めて、ようやくこのマンションでの生活が可能になったということ。

「ここにはお医者さんとか弁護士さんとか、それなりの方しか住めないんですよ。サラリーマンでバカみたいに住んでるのは僕らぐらいで(笑)」(ご主人)

 決して、勝ち組ではないと2人は主張する。事実、ご主人が好きなお酒は特売のハイボールだそう。彼は毎朝5時起きでおにぎりを作り、それを昼食にしている。しかも、給料日前は塩おむすび1個らしい。棚を開けるとカップ麺が大量にストックしてあるし、家の生活用品は必ず100均で揃えている。

――外に食べに行こうとは?
ご主人 「絶対しない! 外食なんかしないもん」
奥さん 「外食したらここに住めないの」

 勝ち組を嫌っているわけではないが、2人に好感を持ってしまった。気取ってなくて、いいご夫婦だ。でも、解せない。見栄を張る性分じゃないのに、なぜこうまでして高いマンションに住んでいる? 全てを犠牲にし、身の丈に合っていない生活を望む理由は?

 ちなみに、2人の出会いは合コンだった。25年前に結婚して以来、ずっと2人で水入らずの生活を送っている。そんな中、ご主人が大病を患った。大動脈解離だ。『ベルセルク』作者・三浦建太郎さんの死因としても記憶に新しい病気。10年前、今の1つ前のマンションに住んでいる頃にご主人はこの病で倒れた。

 ご主人だけではない。奥さんは17年前に胃がんが見つかった。36~47歳までの間はがんになって子宮筋腫になり、ほぼ10年間寝たり起きたりの繰り返しだった。

奥さん 「這ってトイレに行って、這ってリビングに行く。40歳で遺書書きました。未来なんか何も考えられなかった。何がしたいとか」
ご主人 「だから、次にまた病気になるまでの間にやれることやっとかないとさ。1回病気になると、回復まで時間かかるじゃん」
奥さん 「病気、病気ばっかりの(夫婦)。『10年失われたなあ』って、取り返そうと思って今すごい必死」

 軽い気持ちで家について行くと、そこには壮絶な過去があった。いつ、また病気になるかわからない。だから、ローン審査が通るうちに決心し、念願のタワマンに住もうと行動したのだ。

ご主人 「挑戦でタワマン買えるかどうかやったら、経済的に無理だと思ったから1~2年だけ住もうと思ったの。だって、今まで住んでたマンションの(ローンが)3倍くらいだから。それでも挑戦したかったの。だって、病気してたから」
――このマンションに住んでいかがですか?
ご主人 「よかった」
奥さん 「最高だった。駅近だし、景色もいいし」
ご主人 「屋上のヘリポートから見る花火大会」
奥さん 「360度ですよ!? セレブな気持ちを味わうことができました」

 幸いだったのは、2人の価値観が共通して衣食住の「住」にあったことだ。ただ、大病を患ったのだから、もう少し食生活を充実させてほしいと願ってしまう。おにぎり1個だったりカップ麺だったり、また何か起こってもおかしくなさそうな毎日だから……。

 実はこのご夫婦、このタワマンには住み続けない。何しろ、管理費が高すぎる。このマンションは月に5万円だ。率直に、しんどい額。ローンが完済できたとしても、いつまでもその費用が付きまとうということ。だから、引っ越すのだ。次の住居は、鶴見の15坪の3,000万円戸建て。マンションを売った差額で購入できてしまった。タワマンに住みたい夢は1度叶えたので、ネクストステージへ進むのだ。2人には新たな夢がある。

ご主人 「新居の駐車場で商売始める」
奥さん 「テイクアウト。おにぎり屋さん」

 何たる伏線回収……! 節約のため、早起きして昼食を作っていた日々がここで生かされた。おにぎりがここでつながるとは。思いもよらない不意打ちの展開に、思わずプッと笑ってしまった。いいオチだ。楽しそうなご夫婦で何より。

 淡々としているけど、この2人には行動力がある。前向きなご夫婦だ。自分たちの可能な範囲でやりたいことをやっているし、タワマンを人生のゴールにしなかったところも好感が持てる。壮絶な過去を経験しているのに、本当に上手く生きている。ちょっと羨ましい生き方だった。というか、偶然にもこんなご夫婦によく巡り合ったものである。

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