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コロナ禍で変化する音楽ビジネス

ポッドキャストがヒットの近道? コロナ禍で変化する音楽ビジネス

文=代間尽

──YOASOBIやAdoなど、今を象徴するアーティストたちは、“CD”のリリースにこだわらない。主戦場はサブスクにおける再生回数だ。変わりゆく価値観によって、音楽レーベルは大きな変化を求められている。また、コロナ禍だからこそ見えた音楽の新しいカルチャーとは一体──。(「月刊サイゾー」2021年7.8月合併号 【裏“ヒットソング” 】特集より転載)

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大規模な広告展開の影響か、じわじわと音楽サブスク界で睨みを利かせてきたYouTube Music。さすが天下のグーグル傘下。(写真/Getty Images)

 数々の大物アーティストがサブスクにて過去音源の配信を行う昨今、今年5月にはついにB’zが全楽曲のサブスク配信を解禁し、ランキングの上位を独占。彼らの全盛期を知らない若い世代までもB’zの曲を聴くきっかけにつながり、改めて同サービスのパワーに音楽業界全体が圧倒される状態が続いている。

 その一方で、レコード会社のベテランスタッフにはサブスクに対していまだに強いアレルギー反応があり、根強いCD信仰も残っているという。そこで今回はメジャー/インディレーベルのスタッフを中心に話を聞き、サブスクおよび、CD生産に関する社内事情や、コロナ禍でアーティストたちが従来のような活動が行えない中、彼らやレーベルが取るべき戦略なども含めて、音楽業界自体が今後進むべき方向について考えてみた。

 まずは各レーベルにおけるリリースの現状について、大手メジャーレーベルに勤務するスタッフA氏が語る。

「各アーティスト担当に差異はありますが、会社全体の雰囲気でいえば、いまだにCDありきの制作やプロモーション戦略が横行しています。利益のメインがサブスクに移行している部署もありますが、その隣の席では『オリコン1位を目指すぞ!』とか言ったりしてるくらいですから。完全に時代遅れです」

 老舗インディレーベルに勤めるB氏が続ける。

「弊社の売り上げの比率は、CDとサブスクで9対1前後。基本的に所属アーティストがサブスク向きじゃない、という事情もあるのですが、社内でもサブスクは軽視されがちです。いまだに『サブスクは1再生が1円以下、CDであれば1枚売れれば3000円。だったらCDのほうが利益率が高い』のような発想です。しかし、ジャンルによってはCDを作らずに配信のみというアーティストも多いので、CDショップも自動的に扱う商品が減り、店頭で売り場の展開すら満足にできず、話題の最新作が陳列されていないという悪循環に陥っています」

 CDが売れない状況はメジャーも同様。A氏とは別のメジャーレーベルのA&Rを務めるC氏が語る。

「CDを求める層がいるのは間違いないのですが、あくまでも少数派です。CD全盛期と比較すると制作予算も最小限に抑えられていて、仮に作るならば“配信では得られない充実したパッケージ”にする必要があるのですが、実際はCDに挿入するブックレットをしっかり作っているレーベルも少ない」

 B氏が新卒のスタッフから聞いたという次の発言は、若い世代にとってはCDがオワコン扱いにまで達していることがうかがえる。

「20代前半のスタッフの意見でしたが、彼ら世代にとってCDの存在はまったく眼中にありません。音楽を聴くのはサブスク一択で、CDは自分たちの両親や祖父母の世代に流行していた、一昔前のメディアみたいな中途半端な位置付けのようです」

 やはり若い世代ほどサブスクがスタンダードというのが現状のようだが、ここでサブスク各社に対するレコード会社側の評価を、前出のB氏に聞いた。

「弊社での売り上げは断然アップルミュージックが強く、次点にスポティファイ。この2強があり、LINE MUSIC、Amazon Music、AWA、YouTube Musicと続きます。海外はスポティファイの信頼が厚いですが、日本はアップル信仰が強いので、自動的に(アップルミュージックの)会員数増加に結びつく。また、最近テレビCMを絶え間なく打っているYouTube Musicの伸び率が高くなっています。日頃から接するYouTubeの音楽版ということで、親和性が高いことが要因かと思います」

 さらにA氏がサブスク各社の個性の違いを分析。

「アップルミュージックは売れているものしか推さない一方で、スポティファイは流行に左右されない独自路線を貫いています。圧倒的にユーザー数が多いのはアップルですが、音楽業界的に信頼度が高いのはスポティファイで、〈New Music Wednesday〉をはじめとしたプレイリストの影響力は絶大です」

 その名の通り、毎週水曜日に更新されるスポティファイ公式のプレイリスト〈New Music Wednesday〉は、洋楽/邦楽、メジャー/インディ、有名/無名問わず、多種多様のアーティストの新曲をピックアップしている。国内のフォロワー数は約10万人と、同サービス内のプレイリストの中でも飛び抜けて多いわけではないが、独自の審美眼による選曲は音楽好きからの支持を集めている【編註:海外も国ごとに同プレイリストが存在するが、本体となる〈New Music Friday〉は370万人のフォロワーを抱える】。サブスク事情に詳しい、メジャーレーベルのスタッフD氏がスポティファイのプレイリストチームの裏側を教えてくれた。

「彼らは毎週数時間、複数のスタッフで会議室にこもり、2週間後に公開するプレイリストの打ち合わせを行います。しかも、バイアスをかけないために紙資料などには一切目を通さず、レコード会社から送られてきた曲単体を再生するのみ。実際にその選曲の妙が各プレイリストから見て取れるので、レーベルやアーティスト、リスナーからも絶大な信頼を得ています。ちなみにプレイリストチームのスタッフは、レーベルに勤務するスタッフとの接触が禁止されているほどです」

 レーベルにとってはプロモーションの重要なツールとなるプレイリストだが、B氏がリストに担当アーティストの楽曲が選ばれることの難しさを語る。

「スポティファイに限らず、各サブスクの人気のプレイリストに選ばれると再生回数は確実に伸びますが、まず選ばれるのが困難、という壁にぶち当たります。特にスポティファイに至っては直接プロモーションができず、わかりやすくまとめた資料を作っても会議では見てもらえない。なので、懸命な売り込みがどこまで効力があるかは不明ですが(苦笑)、毎週の会議のテーブルに載せてもらうための努力は惜しんでいません」

 プレイリストの望みを持ちつつも、ここ数年レーベルはTikTokでのプロモーションにも注力。本誌20年11月号掲載「レコード会社が頭を悩ます10代へ向けた販売戦略座談会」でもTikTokとサブスクとの相性の良さが指摘されていたが、B氏も担当アーティストの楽曲がTikTokでバズったことでサブスクの再生回数が大幅に伸びたという。

「TikTokのユーザーは気に留めなければ数秒でスワイプしてしまうので、アーティスト本人もレーベルも、ド頭2~3秒でインパクトを与えられる動画制作にいそしんでいます。そこからYouTubeやサブスクへ移動し、曲を聴いてもらうツールとしては、TikTokのパワーは侮れません。実際にYouTubeのコメント欄には「TikTokから来ました」という文言が多く見受けられます。TikTokでバズった曲は、ライブでもめちゃくちゃ盛り上がるようになりますからね」

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