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アレのどこが面白いの?~企画倉庫管理人のエンタメ自由研究~

『おっぱいバレー』の内容だけでなく、どうしても見てみたくなる“題名のパワー”

『おっぱいバレー』の内容だけでなく、どうしても見てみたくなる題名のパワーの画像1
綾瀬はるか(写真/GettyImagesより)

 放送作家の深田憲作です。

企画倉庫」というサイトを運営している私が「あの企画はどこが面白いのか?」を分析し、「面白さの正体」を突き止めるための勉強の場としてこの連載をやらせてもらっています。

 今回のテーマは「綾瀬はるかさん主演の映画『おっぱいバレー』について」です。

『おっぱいバレー』は2009年に公開された映画なので、もう13年も前の作品。読者の皆さんも「なぜ今!?」とお思いになるでしょうが、最近仕事でこの映画を見る機会があったのと、最近YouTubeで得た知見がこの映画とリンクすることがあって本記事を書いてみることにしました。

 同作はテレビ・ラジオの構成作家としても活動されていた、水野宗徳さんの小説が原作。水野さんが構成を担当していたラジオの番組中の電話で、男子バレー部の顧問をしている女性教師の「優勝したら部員におっぱいを見せる」という話をヒントに創作されたそうです。

 内容は、綾瀬はるかさん演じる女性教師が、弱小男子バレー部の部員から「試合に勝ったら先生のおっぱいを見せてください」と懇願され、断り切れずに約束を交わしてしまい、部員たちがやる気を出して練習に励んで勝利を目指していくストーリー。女性教師としては「おっぱいは見せたくないけど、試合に勝つ喜びや努力する素晴らしさを知って欲しい」という複雑な思いを抱えながら指導にあたっていきます。

 もうこの概要だけで面白そうな感じがしませんか?

 映画を見ていない方もご想像の通り、一切おっぱいは出しませんし、下ネタは多く出てくるもののそれらは笑いに昇華されており、決してピンク作品ではありません。『ウォーターボーイズ』『チア☆ダン』に通ずるような青春映画で、ちゃんといいお話で、感動できる作品です。

 では、先述した「YouTubeで得た知見とリンクした」ということについて説明します。

 今や完全なるレッドオーシャンと化したYouTube。その制作に携わっていると頻繁に次のようなことを言われます。「まずはクリックして見てもらわなければいけない。“見たら面白い”ではダメで“見ようと思う”サムネイルやタイトルにしなければいけない」と。

 YouTubeは、コンビニで例えるなら商品が有象無象に並べられている状態。手に取ってもらうだけでも、いや、お客さんの目に触れるだけでも至難の業です。

 テレビの場合は民放5局とNHKやMXテレビなど、10ぐらいの選択肢の中から選んでもらうことができます。この選択肢の多さが、テレビとYouTubeの大きな違いの1つと言えるでしょう。だからこそYouTubeでは有名芸能人ですらも「重大な報告があります」といった釣りタイトルを駆使し、なんとかクリックしてもらおうと躍起になっているわけです。

 少し話は変わりますが、秋元康さんがこんなことを言っていたと聞いたことがあります。

「“見たら面白い番組”と“見たら面白そうな番組”、どっちを作るべきだと思う?」「答えは“見たら面白そうな番組”である」と。

 いまいちピンと来ないかもしれませんが要はこういうこと。「たいていの番組は見たら面白い。見たら面白いなんていうのは最低条件。まずは見てもらわなければ意味がない。見ようと思ってもらうための努力をするべきだ」ということです。

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