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ウエストランド河本はタトゥーを笑いに変えるチャンス?元芸人が考える「プロ意識」

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『M-1グランプリ2022』公式サイトより

 お笑い芸人がやる仕事は他の芸能人に比べると体を張るものが多い。それは体力を使うものだったり、文字通り危険な目にあったり、中には全裸になって臨む仕事だってある。もちろん全裸になる仕事の中には体を張るものではなく、海やプールへ行くようなバカンス的なロケや、ゆったりと温泉に浸かるような旅番組もある。

 芸人の知名度が上がってくると、地方局によるこの「旅番組」のロケが意外と増えてくるのだ。知名度が上がり始めた芸人はメジャー芸人よりも安価で呼ぶことができ、さらに若手芸人をよく視聴する若者に向けて、普段はあまり見る機会がない温泉や旅館などのPRも出来るので、客層を広げるにはもってこいなのだ。

 そんな若手芸人にとって切っても切り離せない「裸仕事」を、芸人自身が断ってしまうパターンがある。その原因は「タトゥー」だ。

 現代の日本においてタトゥーを入れるのは決して珍しいことではない。もちろん体一面に入れるようなタトゥーや、「入れ墨」というイメージが強い昔ながらの和彫りを入れる人は今でも少ないが、耳の後ろや足首など見えない部分に入れるワンポイントタトゥーに関しては、かなりの人が入れているのではないだろうか。

 それは芸能界においても例外ではなく、ワンポイントのタトゥーを入れているタレントさんや俳優さんも多く、昔のように見えないように隠しているわけではなく、自身のSNS等で披露し、そのタトゥーを入れた真意を語る人もいるくらいだ。さらに歌手の方などはワンポイントどころか大きくタトゥーを入れている人もおり、ファンがそのタトゥーを真似して入れることもある。

 歌手の方はそのタトゥーすらも自身の見せ方の一つであり、よっぽどの事情がない限り隠すようなことはしないが、俳優さんやタレントさんは自身のイメージを崩さないために、テレビではテーピングなどをして隠す場合が多い。

 芸人も俳優さんやタレントさんと同じで、テーピングなどをして隠すパターンが主流で、昔は何としてでも見せないようにしていたのだが、ここ最近はごく少数ではあるがタトゥーが入っていることもお笑いにするパターンも存在し、お笑い界の柔軟性には頭が下がる。

 現在タトゥーを入れている、もしくは入れていた芸人は、大御所でいうと「とんねるず」の木梨さん。左腕に実家の「木梨サイクル」を英語にした文字を入れていたり、「野生爆弾」のくっきーさんが全身8か所に様々なタトゥーを施していたり、「メイプル超合金」の安藤なつさんが大きめのタトゥーを腰に入れていたり、「バットボーイズ」の佐田さんや「ラフコントロール」の重岡さんのような「元不良」「THE若気の至り」といった感じで入れてしまい、現在除去しようとしている芸人もいる。

 ちなみに、一度「ラフコントロール」の重岡さんとライブが一緒になったときに楽屋の隅で着替えているのを見かけ、「なんでこそこそ着替えてるの?」と聞いたところ、広範囲に広がる入れ墨の除去跡を見せて気まずそうにしていたのを覚えている。

 除去と言えば、2019年に放送された『石橋貴明のたいむとんねる』(フジテレビ系)という番組で行われた「千鳥と行くイチゴ狩りツアー」という企画内でドラム缶風呂に入るという流れがあり、ネルソンズさんが入ることになった。ネルソンズさんの3人がパンツ一丁になったときに、岸さんの腰に入れ墨が入っていることにタカさんが気づいてしまうのだ。

 腰に入っているというより背中に書いてある入れ墨の一部が見えているという雰囲気なのだが、指摘された岸さんは若気の至りで「金剛力士像」を背中に入れたらしく、入れ墨を入れたことを後悔し、消す施術を受けていたそうなのだが、金銭的に余裕がなくなり、消す施術を途中放棄した為に中途半端に残ってしまったということなのだ。中途半端に残っている入れ墨は何とも情けなく、見事に笑いとなった珍しいパターン。

 この芸人のタトゥー関連で、つい先日新たなニュースが話題となった。なんとM-1グランプリ2022王者「ウエストランド」の河本太さんが、タトゥーを理由に温泉ロケの出演が取りやめになったと「週刊現代」(講談社)が報じたのだ。所属事務所は両腕と両足首にタトゥーが入っていることを認め「上京後、彫師を目指している勤務先の先輩に頼まれてタトゥーを入れたので、反社との繋がりはない」とコメントしている。

 皆さんは芸人にタトゥーが入っていることについてどう思うだろうか? 今やタトゥーはファッションの一部になっており、幅広く普及しているので良いんじゃないかと思う人も多いとは思うが、今の世の中に反して芸能界、特にお笑い界は厳しいコンプライアンスの波が押し寄せており、タトゥー=反社と直結するわけではないが、芸人を使う側、つまりスポンサーサイドは少しでも自社の製品や自社自身に悪影響を及ぼす可能性があるものは全て排除しようとする。

 これは芸人に限ったことではないのだが、自分がやりたい仕事内容的に肌を露出する可能性があり、露出した際にタトゥーや入れ墨がマイナスプロモーションになると予想されるのなら、一時の欲求に従うのではなく、確実に入れるべきではないのだ。

 ちなみに、朝ドラのヒロインを目指しているのならピアスの穴を開けてはいけないと言われている。入れ墨やタトゥーレベルではなくピアスの穴だ。年齢は関係なく、自分が目指す道に対して弊害が出るようなものはやらないのが当たり前だ。

 その商売でお金を稼げるようになりプロになるが、プロ意識というのはプロになる前に培うことが出来る。その道で頂点を極めたいなら、なる前から意識改革をすべきなのだ。

 僕が若い頃は今のようにタトゥーが一般的なものではなかったが、僕自身中学生の頃、タトゥーを入れたい衝動にかられ、周りも素行が良い人間ばかりではなかったので危うく入れかけたが、子供のころからなりたかった芸人という夢があり、確実に芸人活動に支障が出ると思い、入れるのを諦めた。

 ここに挙げた芸人さんたちは、真剣に芸人を志す前にタトゥーや入れ墨を入れてしまい、プロ意識が芽生えた頃にはすでに入っている状態だったのではないだろうか。

 しかし、今回取り上げた河本さんに関しては、だいぶ前から芸人としては売れる兆候があり、他の若手芸人より露出も多かった。その時点で、いずれ自身が入れているタトゥーが活動の足を引っ張るのは明確だ。なので、事務所に相談するなり借金するなりして、なるべく早めにタトゥーを除去すべきだった。

 古い考えかもしれないが、芸人が当たり前にタトゥーを入れて、それを披露する未来ではなく、間違いなく支障が出る現在進行形の芸人なのだから、徹底して売れようとするべきなのだ。チャンスを手にするのは天文学的に難しいことなのだが、チャンスを棒に振るのは至極簡単なことだ。

 せっかく掴んだこのチャンスを逃さないためにも、今すぐタトゥーを笑いに変える方法を編み出すしかない。

 もしかしたら「芸人は面白ければなんでもアリ」という一昔前の考えと、タトゥーが当たり前という未来を繋ぐ第一人者になれる、ある意味別のチャンスが訪れたのかもしれない。何ともラッキーな男である。

檜山 豊(元お笑いコンビ・ホームチーム)

1996年お笑いコンビ「ホーム・チーム」を結成。NHK『爆笑オンエアバトル』には、ゴールドバトラーに認定された。 また、役者として『人にやさしく』(フジテレビ系)や映画『雨あがる』などに出演。2010年にコンビを解散しその後、 演劇集団「チームギンクラ」を結成。現在は舞台の脚本や番組の企画などのほか、お笑い芸人のネタ見せなども行っている。 また、企業向けセミナーで講師なども務めている。

Twitter:@@hiyama_yutaka

【劇団チーム・ギンクラ】

ひやまゆたか

最終更新:2023/03/08 07:00
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