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文春、新潮が並んで報じた松本人志問題と未来への懸念

ダウンタウンの松本人志が「週刊文春」を名誉毀損で提訴する一方で、松本がテレビから姿を消しはじめた。その状況を憂いて、松本にエールを送るネット上の動きも生まれ出している。今回の松本問題しかり、昨年のジャニーズ問題しかり、週刊誌報道が当事者や関係者、ファンなどの人生を大きく変え、国民の分断まで招こうとしている昨今の状況に危惧を抱く人間が出てくるのも当然だろう。『ムショぼけ』『インフォーマ』などの作品で知られる沖田臥竜氏も明言する。「今の風潮はおかしい」と――物言う作家による、松本人志騒動に対する直言コラム第2弾をお届けする。

国民同士の罵り合いまで生み出した疑惑記事

 文藝春秋社に追随して、新潮社も叩き始めた。「週刊文春」と「週刊新潮」が、ダウンタウンの松本人志氏の性的加害疑惑をあいかわらず片側の証言のみをベースに報じているのだ。

 こんな世の中でも文芸を志す若い人たちはいて、彼らは今の両誌を見てどう思うだろうか。そこを私は問いたい。だって、文芸なんて言っちゃあなんだけど、食えねえじゃん。「その響きのよさのわりに食えねえ職業ランキング」でもあれば、ぶっちぎりで1位は小説家だと思う。

 そのように文芸が売れない中で出版社が営利目的の媒体に力を入れるのは、わからなくはない。でも文芸界においては、天下の文藝春秋と新潮であるぞ。そのあるべき姿とはかけ離れた現状に、文芸に携わる人たちは泣いているのではないか。

 売れればいい、というのは企業としての道理である。だが、その影響をどこまで自覚しているのだろうか。行き過ぎた週刊誌報道は社会問題に発展し、一方の言い分のみで記事化を進め、それに対して一方の当事者が徹底抗戦の構えを見せれば、報復のように反論記事を連発する。それは、やがて世論を巻き込み、ネット上では、擁護する者、批難する者とで罵り合いを見せているのだ。結果、週刊誌に情報提供をした者をも追い込む状況を生む。

 それが週刊誌ジャーナリズムの真髄で、そこにネット文化の歪んだ部分がかぶさってくれば、現在、起こっていることは必然なのかもしれない。

 そうなのだとしたら、一層のこと、週刊誌などはなくなってしまえばよいのではないかと思ってしまう。人間同士が無闇に傷つけ合うことを結果的にでも文芸の金看板を持つ出版社が主導するのならば、私は文芸のために筆を握る者として、その状況を看過できないのだ。

 なにか言いたいことがあれば、私は必ず1人でその相手に直接言う。そこに賛否両論あろうとも、他者に理解されなくとも、そんなことに興味がない。間違っていることをしていると感じた相手がいたときは、直接対峙し自分の考えを伝えることが大事で、週刊誌のようにその情報に値段をつけて、国民の前にさらす必要性を感じないのだ。

 西川のりおの松本人志批判にしても、本来のあるべき姿とは思えない。気に入らなければ気に入らないで、本人のためと思うなら、同じ事務所の先輩として、もっと前に直接言えたはずではないのか。松本氏のことが仮に気に入らない後輩であり、内心ではざまあみろという感情があったとしとも、まずは「大丈夫か?」とそっと声をかけてやるのが人の優しさではないのか。そのうえでのアドバイスや批判があるべきであろう。ラジオやYouTubeでネタにするような立場ではないはずだ。

 私自身のやりたいことは、はっきり決まっていて、その芯がブレることもなければ、自分のことは自分で理解していれば、それでよいと思って生きている。

 よく言われるように、100年経てばみんな死ぬのだ。ならば、今生きる人々はこれからの若い人がもっともっと良い時代を築くための土台をつくるべきだ。そんな中で私ができることでいえば、人を感動させられる作品づくりに力を注ぐべきだと考えている。週刊誌やSNSといったメディアが人を裁くような時代にしていってはいけない。

 匿名の人たちが群れて、一方の正義だけを掲げて、弱い立場になった人を執拗に叩く姿を子供たちは見ているのだ。それが本当に良いことと思っているのか。今行われていることは、週刊誌という絶対的な権力が来たら、それには逆らうなと言っていることと同じに見える。そんなことを天下の文藝春秋と新潮が揃いも揃ってやっているのだ。

 週刊誌ジャーナリズムが必要なときもあるだろう。それこそ政治や司直も手を出せないような不正義の追及はジャーナリズムの責務だ。だが、今回の件はどうであろう。これはこれ、それはそれと、誰しもが器用に考え分けることなんてできない。

 文春の記者も新潮の記者も、私が知る限り一人ひとりは悪い人はいない。各メディアに知り合いがいるが、毎回肌が合わず、付き合ってやって損したなと思うのは、私の周りではNHKの記者たちくらいだ。毎度、自分たちから「内密で……」と寄ってきて、その後はいつも不快な思いをさせてくれる人間が実に多い。

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