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中国政府系メディアが暴露! 「共産党指導部はもはや民衆を抑えることはできない」

onshujiko.jpg事故を伝える現地メディアにも厳しい目が
向けられている。

 中国の高速鉄道事故における国民の爆発的な怒りを、中央政府が抑えきれない事態に陥っているようだ。事故翌日に処理部隊が車両の一部を埋めてしまったことに、ネット上では「真相の隠蔽だ!」と非難轟々。さらに、同日深夜に会見した鉄道省の報道官による「現場がぬかるみで、放置すると危険だと判断した」との説明に、納得できない記者たちが殺気立つ場面も。空気を読んだ報道官が、「隠蔽ではありません! 皆さんは信じないかもしれませんが、私は信じています……」と苦しいコメントで頭を下げる珍場面も見られた。

 一方で、政府は25日までに、国内のメディアに対して独自取材をしないよう求める通知を発令。お得意の情報統制に打って出たものの、27日には犠牲者遺族約100人が横断幕を広げて抗議行動を敢行。共産党指導部の思惑に反し、ネットとリアルの両面で政府批判は強まるばかりだ。


 「一党独裁」「言論統制」がキャッチフレーズ(?)の中国で今何が起こっているのか。中国の大手政府系メディアの担当者が、「絶対匿名で」を条件にインタビューに応じてくれた(聞き手=浮島さとし/フリーライター)

――インターネットの普及により、政府が民衆の不満を抑えきれなくなっているとの見方が、日本人の間で広がっています。

「確かにネット上で湧き上がる不満の声を、共産党指導部も止めることができなくなってきてます。その対応に躍起になっているという印象は、現場にいても感じます」

――実際にどういう形で情報統制がなされているのでしょうか。

「中国では電波や新聞、雑誌、フリーペーパー、ネットニュースにいたるまですべて共産党の宣伝部の検閲を受けていますので、そこに露骨な政府批判の記事を見ることはありません。ただ、今の民衆は、こうした報道をほとんど信用していませんので、ニュースサイトの書き込み欄に怒りのコメントが大量に書き込まれるのがパターンです」

――政府批判のコメントが大量に書き込まれると、やはり削除されるわけですよね。

「そうです。ただ、消しても次々と書き込まれるので対応しきれません。最近では微博(中国のTwitter)でリツイートされまくると、もう止めることは不可能ですね。それがさらに民衆の怒りを増幅する。そうなると政府も民衆に擦り寄るしかありません。今回、いったん埋めた列車を掘り起こしたのも、その流れだと見ていいでしょう」

――BBSやサイトそのものが消されたりはしないのですか。

「そこが昔と今の中国の違いなのですが、かつてのように露骨な規制は、かえって民衆の怒りに火をつけるのでやりづらくなっています。そこは、ある意味で大きな変化でしょうね」

――閉鎖が難しいといっても、中国では海外サイトがブロックされていて、見られるサイトが最初から制限されていますよね。

「確かに、政府はグレートファイヤーウォールで海外サイトをブロックしていますが、最近ではそれも、『vpn』というサービスを介すれば、Facebookなどの海外サイトも見られるようになっていて、そこで中国民衆が本音を共有できるようになってきました。その影響は大きいと思います」

――ということは、やはり変化というものを実感されているのですね。

「そうです。まず、民衆が報道をまったく信じなくなった。『どうせ都合のいいことしか知らせない』というスタンスで見ている。また、政府も露骨な抑圧はしにくくなっている。今回の鉄道事故への対応でも、いったん埋めた車両を掘り起こしたり、被害者に前例のない多額の補償金を支払うとしている。そういう懐柔策をとるようになりました。これも大きな変化です」

――先般、事故の関連で鉄道省の役人の会見があり、説明に納得しない記者が怒号を浴びせる場面がありました。ああいうこともかつてはなかったのではないでしょうか。

「その通りです。5年くらい前までは会見なんてものがほとんどなく、報道指示があるだけでした。あの鉄道省の説明は到底納得できる内容ではありませんでしたが、それでも開いた。そして、怒る記者に頭を下げるような形になった。こういうことは、かつてはなかったことです」

――政府が国内の不満を抑えきれなくなりつつあることは理解できましたが、それと関連して、政府は不満が起こると、とにかく日本を敵に仕立てて問題をすり替えますよね。

「おっしゃる通りです。毒餃子事件のときもそうでした。悪いのは日本だと矛先を変える。今回の事故でも、人民日報が7月25日付けで『日本では中国の事故をあざ笑う報道をしている』などと報じています。『事故に特に敏感に反応しているのは日本』『事故が日本メディアを喜ばせている』『揶揄している』『嘲笑している』など、意図的な表現が見られますね」

――報道する立場からご覧になり、民衆の不満は年々拡大しているとお感じになりますか。

「ひとことで民衆といっても、どの層を語るかにより違ってきます。都市部の富裕層にはそれほど不満はないでしょうが、地方の貧困層はインフレの進行でどん底の生活を強いられていますから、その不満はもはやピークでしょう。また、民主化の思想を持つインテリ層にも不満は蓄積しているようです」

――日本に帰化した評論家の石平(せき・へい=シー・ピン)さんに先日お話を伺ったのですが、「民衆の不満が爆発するのは経済が停滞したときだ」とのご意見でした。経済の成長が止まるとすべての矛盾が噴出すると。

「はい、その傾向は既にいろいろなところに表れていると思います」

――石平さんによれば、78年から09年までの30年間で中国の経済規模は92倍に拡大したが、それに対するマネーサプライは702倍にも膨らんでいると。常にお金を発行することで経済を支えてきたが、そんなやり方には限界があると。

「その指摘は正しいと思います。ただ、よく耳にする『不満が爆発する』というのが、具体的にどういう規模で、どんな形で起こるのか、それにより国そのものがどうなるかについては、正直誰もわからないと思います。いずれにしても、これからの中国は今までのような独裁政権での体制維持はだんだん難しくなるでしょう」

――それはネットの普及で情報統制が維持できなくなってきたからですか。

「その通りです。独裁政権が体制を維持するには、なんといっても情報統制ですから。それがインターネットの普及でできなくなれば、政権の維持が困難になるのは必然でしょう。今回の列車事故の報道に対する民衆の怒りを見ていると、その動きは確実に始まっていると感じます」
(インタビュー方法は通訳を介した電話によるもの)

中国で汽車旅を

気軽にできない。

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最終更新:2013/09/12 11:05
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