日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 高田純次のテキトーイズム
週刊!タレント解体新書 第25回

高田純次が実践する“テキトー”という笑えるライフスタイル フジ『ペケポンプラス』(4月28日放送)を徹底検証!

(2)アクシデントを恐れない

 先述した重いものを持ち上げた高田純次は、自らギブアップを提案する。一同に「限界来ちゃいました」と述べ、スタジオのサブのほうを向き「家から電話?」とウソをついてその場を離れようとする。そして立ち上がって振り向き、歩き出そうとするのだが、次の瞬間、高田純次は頭をスタジオセットのバーに思い切り当ててしまう。この自分勝手なアクシデントの起こしっぷりは、見事というほかない。

 68歳にもなれば、もうちょっと落ち着いてもいいのではないか。誰もがそう思うが、それは錯覚にすぎない。高田純次はあえて周囲に目を配らないことで、アクシデントを引き寄せる。これは確かに偶然ではあるが、偶然を自ら呼び込んでいるという点で決してまぐれではない。

 そのアクシデントを、高田純次は心から楽しんでいる。これは言い換えれば、凝り固まった常識やルールへの拒絶だとも言えるだろう。自分が予想しなかったことが起こる、だからこそ人生は面白い。自分の思い通りに物事が進まなかったときに、それをストレスと感じずにむしろ楽しんでしまおうという信念。高田純次のこのイズムは、窮屈な世界で生きる私たちにとってもまた、参考になるものではないか。

(3)とにかく笑う

 高田純次は、とにかく笑う。ほかの出演者の発言というよりは、むしろ自分の言ったことで大きな声を上げて笑うのだ。たとえば先ほどから述べている、重いものを持ち上げることになった際に「ただ俺、吹き出物が治ったばかりだから」と遠慮しようとして全員から突っ込まれる。そのときの、高田純次のうれしそうな顔ったらない。そして、高田純次はこう言う。

「じゃあ、持ち上げられるか! ワハハハハ!」

 ものすごく笑うのだった。とにかく楽しんでいる。それが分かるような、実に素敵な笑顔を見せて。

 そしてこれが、おそらく高田純次の生き方の根本にあるように思う。何があっても、楽しもう。何があっても、笑ってやろう。その意識の強さと、そしてまたしぶとさこそが、68歳になってもなお高田純次で居続けられる理由だろう。高田純次の言う通り、毎日は楽しいことばかりではない。それでも人は、笑うことができる。どれだけしんどい社会であっても、高田純次はそこにいる。今日もまた、テキトーなことばかりを口にして。

【検証結果】
 『1分間の深イイ話』でオリエンタルラジオを相手に少し真面目に語った後、高田純次は笑いながら言う。「まったく思ってないこと言っちゃった」と。それが本当なのかウソなのかは、もはやどうでもいい。それすら関係ないのだ。高田純次は、自らが築き上げたもの、すべてを壊していく。だからきっと、このコラムをもし読んだら、高田純次はこう言うだろう。「俺、こんなこと言ったっけ?」とか、なんとか。
(文=相沢直)

●あいざわ・すなお
1980年生まれ。構成作家、ライター。活動歴は構成作家として『テレバイダー』(TOKYO MX)、『モンキーパーマ』(tvkほか)、「水道橋博士のメルマ旬報『みっつ数えろ』連載」など。プロデューサーとして『ホワイトボードTV』『バカリズム THE MOVIE』(TOKYO MX)など。
Twitterアカウントは @aizawaaa

最終更新:2015/04/30 14:00
12
ページ上部へ戻る

配給映画

トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • twitter
  • feed
特集

【4月開始の春ドラマ】放送日、視聴率・裏事情・忖度なしレビュー!

月9、日曜劇場、木曜劇場…スタート日一覧、最新情報公開中!
写真
インタビュー

『マツコの知らない世界』出演裏話

1月23日放送の『マツコの知らない世界』(T...…
写真
人気連載

『24時間テレビ』強行放送の日テレに反省の色ナシ

「愛は地球を救う」のキャッチフレーズで197...…
写真
イチオシ記事

バナナマン・設楽が語った「売れ方」の話

 ウエストランド・井口浩之ととろサーモン・久保田かずのぶというお笑い界きっての毒舌芸人2人によるトーク番組『耳の穴かっぽじって聞け!』(テレビ朝日...…
写真