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『とと姉ちゃん』第二週で描かれた“情けないお父さん”像ーー高畑充希、いよいよ本格登板へ

 そんな中、小橋家には、さらなる困難が押し寄せる。突然、会社からの援助を打ちきると告げにきた杉野社長(田山涼成)。他にも結核で亡くなった社員が何人かいて、全ての遺族に援助することはできない。だから、小橋家も特別扱いをすることはできないという。こう言われて、この時代、結核で亡くなるということが、ありふれたことだということを視聴者は思い知らされる。

 そして、援助を打ちきられて生活の心配をする君子は、大家さんから「知り合いの妾にならないか」と誘われる。どちらも、小橋家を追い詰めようとする悪意ではなく、あくまで当時のふつうの人々の感覚として描かれているのを見逃してはならない。

 第二週では当時の日本人“みんな”の考え方と優しい父親に育てられた小橋家の有り方が微妙に食い違っていることが、先週に続いて描かれていた。この小橋家とみんな(=当時の日本人)という小さな対立軸は、やがて戦争に向かっていく中で決定的なものとなっていくのかもしれない。

 尚、熊本を震源地とした大地震の報道番組が放送されたため、土曜日の12話は中止となり18日(月)に変更された。『とと姉ちゃん』以外にも、いくつかのドラマは放送延期となったのだが、どうしても東日本大震災直後のことを思い出してしまう。

 ドラマ本編の内容とは関係ないが、リアルタイムで連続ドラマを見ていると同時期に起きている社会的出来事とどうしても重ねてしまう。2011年の朝ドラ『おひさま』の時は作中の戦争に向かっていく空気と震災以降の緊張感を重ね合わせてみていたが、今回の大地震は、本作を見る視聴者にどのような影響を与えるのだろうか。

■成馬零一
76年生まれ。ライター、ドラマ評論家。ドラマ評を中心に雑誌、ウェブ等で幅広く執筆。単著に『TVドラマは、ジャニーズものだけ見ろ!』(宝島社新書)、『キャラクタードラマの誕生:テレビドラマを更新する6人の脚本家』(河出書房新社)がある。

最終更新:2016/04/19 09:00
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