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【messy】

レジェンド・加藤鷹が語る、AVを真に受ける男としょぼいセックスをする女たち/インタビュー

 “エロメン”が世を、そして膣を沸かせている昨今。AV男優がブランド化したきっかけと言えば、彼を語らないわけにはいきません。1988年にデビューし、2013年に引退するまで実に25年間第一線で活躍し続けたあの男、加藤鷹(57)。今年で業界生活30周年という節目に、最新ちんぽ事情やイッたことがない女性へのアドバイス、そしてAVを真に受ける勘違い男子への警鐘まで、あますことなく聞いてきました。

日本では「ゴッドフィンガー」 中国では「神」

――業界に入られてから、今年で30年なんですよね。

加藤鷹(以下、加藤) そう。だから周りは「30周年記念で何かやりましょう」と言ってくれるんだけど、俺はAV男優は辞めているからさ。だから、関係者だけで、趣味も兼ねてゴルフコンペでもやろうか、と話しているんだ。女性も呼びたいんだけど、いざとなると、女性の知り合いって少ないんだよねえ~。気づくと、プライベートで付き合いのある女性がいないんだよ。

――呼べば来る人はたくさんいそうですが。

加藤 いや、呼ぶ術がないのよね。ぶっちゃけ、ここ30年で個人的に連絡先を聞いたことがあるのは、森下くるみとハセマン(長谷川瞳)くらいだもん。(及川)奈央ちゃんは結婚したから、電話するのもはばかられるしね。

――AV男優を辞めて3年ですが、今はどんな活動をされているんですか?

加藤 男優は辞めたけど、今でもパンツは脱いでる。定期的にすすきのの風俗取材に行って、ちゃんと射精して帰ってくるよ。だいたい2カ月に1回。半日で2人。おそらくいちばん若いやつら(男優)よりも、まだまだちゃんと元気よく絡めると思いますよ(笑)。

――射精は余裕ですか?

加藤 2回くらいはね。もともと射精なんてこだわっていないから。イクときはイクし、イカないときはイカない。他には、台湾や中国でも仕事があるよ。向こうは規制があるから映像は見られないけど、中国だとウェイボ、台湾だと個人ブログで、口コミでAV情報が広がるんだよ。

――完全に口コミなんですね。

加藤 そう。日本国内ってもう、AVに伸びる要素がないじゃないですか。DVDも売れなくなっているし。でも、中国や台湾は伸び盛り。それに、中国は人口13億人でしょう? 分母が違うから。蒼井そらちゃんが中国での人気の先駆けだと思うけど、俺も認知されているらしいんだ。なにせ日本人より伝わりやすいんだよ。日本だと「ゴールドフィンガー」とか呼ばれているけど、中国だとなぜか「神」だからね。香港では、「おじいちゃんもおばあちゃんも加藤鷹を知っている」と聞いたよ。90年代に俺の『秘技伝授』(SOD)という作品の海賊版が出回って、知らない人は1割しかいないんだって。

――ワールドワイドですね。

加藤 海外は、日本のようなエロへの垣根がない気がする。それも、俺のことをみんなが知ってくれて、「神」扱いしてくれる理由のひとつじゃないかな。蒼井そらも、彼女がなぜ中国で売れるかというと、普通の人ができない「裸になる」ということをやっている人=「リスペクト」なんだよね。

――鷹さんの場合は、日本でも「加藤鷹」というブランド力があります。

加藤 日本人は、俺がこういう仕事をしていて、セックスに対する経験値がある、という目線で「加藤鷹」を見てくれているけど、中国人はそういうレベルじゃないんだろうね。さっきの『秘技伝授』は日本では20~30万本売れたんだけど、中国では何百万本も売れたっていうんだ。実は、中国のセックスの悩みが、「痛いから、痛みをなくしたい」とか、そのレベルなんだよ。

AVや官能的な映画を見て、「こういう風にするんだろうな」と頭のなかで描くことは出来ても、実際に男女が行為に至るのは別物じゃない? 中国では、実戦が圧倒的に少ないんだと思うよ。

――キスして、胸を愛撫して……というステップが、日本とは大きく違うんですかね。

加藤 そうだと思う。俺が聞いたのは、キスをしながらズボンを下ろして、すぐに挿れようとするみたいよ。まさに「2.5秒で合体」みたいな世界だよ。AVはコント的な観点でやっているけど、それがガチだとね……。

――中国の女性は、それが普通だと思っているんでしょうか。

加藤 だろうね。逆に、女性も男性を気持ちよくする術を知らないみたい。5月の連休明けに中国に行くんだけど、そのときに、そういうセックスをする人たちとディスカッションをする場を設けてもらえるんだけど……そのとき、「え! 乳首って舐めるんですか!?」という質問が来そうな気がする。おそらく、「乳首、舐めてください。気持ちいから」というところから教えなきゃダメな気がするよね。

――そこから指導しなきゃいけないとは、大変です。

イカないのは、男がしょぼいセックスしてるから

加藤 いやいや、日本人だって悩み深いよ? たとえばさ、90年代のAV女優が「私、イケないんです」と言うと、「その背景に幼少期のトラウマがあるのでは」と深読みしていたし、実際にそういう子が結構いたんだけど、00年代をすぎると逆なんだよ。「私、イケないんです」と言うから深読みすると、なにもないんだ。で、絡むと、「イクーー!」と、普通にイクんだよ。「え? 今までと何が違ったの?」と聞くと、「プライベートでは、トイレでハメたりとか……」って。なんだよ、ただしょぼいセックスをしていただけかよ! っていう人が増えた。俺らの時代って、バイト代がラブホテル代に消えたりしたけど、それって男として当たり前のことだったんだけどね。2000年をすぎた頃から、若者に聞くと、「デパートのトイレでする」とか、「ビルの外階段」とか、「カラオケで」とかさ。

――そりゃあイケないわけですね。

加藤 もうイク、イカない以前の問題だよね。あとさ、女優さんで、「私、正常位でしかイカないんです」ということを言う人もいるんだけど、そういう女優さんに俺は、絶対、正常位はしないんだよ。

――どうしてですか?

加藤 イク、イカないのは、メンタルの問題で、体位の問題じゃないと思ってる。その人が学習するには、「正常位じゃなくても、私、イケるんだ」という体験をするしかないわけだよ。体感学習させるために、あえて正常位をヤラない。

――そういう思い込みってありますよね。

加藤 そうなんだ。仕事をしていると、「それって思い込みなんだけどなぁ~」と思うことが結構ある。でも、「それは思い込みだよ」と指摘するのは簡単だけど、結局は体感しないとわからないからね。怖いのよ、思い込みって。会って2秒でいきなり、「鷹さん、私、潮吹かないんです」と言われたこともあったけど、それは何? 防御の言葉? みたいなね。

――潮吹きが嫌いだと伝えたかったんでしょうか? どれだけやっても吹かないですからね、私! と。

加藤 だろうね。だから俺は、仕事だから一応はするけど、「痛かったり気持ちよくなかったら、すぐにストップかけていいから」と相手に預けるわけですよ。でも、止められたことはないな。そういう人こそ、あり得ないくらい吹いちゃったりするんだよね。

――男性も、イケない人が増えているらしいですが、なぜでしょう。

加藤 それは「イカない」と思っているからじゃない? 女性も「そろそろイッてあげないと」と思っているよね。それで演技なんかしちゃったら、自分でどんどんイカない方向に持ってっているってことだけど、それは男も同じなんだ。相手に気持ちいいことをして、体感だけをひたすらしていると自然にイケるけど、意識しはじめたら絶対にイケないからね。どんどん冷めていくだけ。

――勝手にプレッシャーを課しているということですか?

加藤 うん。それは男女とも一緒。

――「私がイマイチだから、彼がイケなかったのかな……」と思いがちです。

加藤 それには声を大にして言いたいね。「あなたのせいではない」って。前に17歳の女子高生が「イッたことない」と言っていたんだけど、びっくりしちゃって。おまえ、何回ヤッてそんなこと言ってるの? と。バカな男がさ、AVとかを見て、「セックスするとこうなっちゃうのかぁ~」と思って、2、3回ヤッて彼女がイカないと、「なんかおまえ、カラダおかしいんじゃないの?」みたいな言い方をするから、彼女は悩む。いやいや、イカないのは男のおまえが下手くそだからイカないんだよって話だよね。

――「彼にこう言われちゃって」と悩む女性、多いですよね。

加藤 その相手の男、しょぼいくせに何を偉そうなことを言っているんだよってね。俺だって「加藤鷹、もっとお勉強させていただきます」の日々ですよ。

セックスは論じることじゃない

――潮吹きなど、鷹さんの真似をしてドヤ顔でやる男にも聞いてもらいたいですね。

加藤 実は俺たちの世代って、プライベートでは手マンもしたことがないんだよ。もちろん舐めるのはしてたけど、性器に指を突っ込むのって、いけないことだという認識だったんだよね。実際、俺が10代のときは、自分の彼女に手マンなんかしてないなあ。

――世代的にそうなんですね。

加藤 これはぜひ記事にしてほしいんだけど、元々AVで行われている行為は、色々なルールがあった上で行われているの。たとえば、なぜAVで手マンが生まれたのかというと、「本番はしません」という女優さんが半数以上いた時代があるんです。「擬似セックス」が主流だったんだ。ちんこを挿れちゃダメとなると、挿れてもいいものは……指! と。それが手マンのはじまり。

「擬似セックス」は、ぐにゃぐにゃのちんこと土手が、パチパチとぶつかっているだけの行為でしょう? リアリティがないし、長持ちしないよね。で、リアリティを出すなら、前戯で盛り上げるしかなかったわけ。

――手マンは本番行為NGで生まれた演出だったんですね。

加藤 そう。「ちんこを挿れられない。じゃあ何だったら入れられるか。指やおもちゃならOKか」と。「指を突っ込みたいから手マンした」という思考じゃないんだ。

――本番NG女優さんは、指を挿れる行為はOKだったんですか?

加藤 ソープランドの女性が言う、「挿れるのはいいけど、キスはしない」というのと似ているのかな(笑)。

――潮吹きもその延長ですか?

加藤 俺の場合は、潮吹きは偶然の産物。女優さんが「なんか出ちゃう」って、ビュッと出ちゃったんだ。そういうハウツーがあったわけでもないし。俺は怖がりだから、「ここはどう?」「気持ちいい?」「痛くない?」と聞きながら手マンしていて。俺も経験がないわけじゃないですか、手マン歴がないから。いきなり監督から「指で愛撫して」と言われるけど、10代の頃に不貞行為だと思って、したことがないんだからさ……。

――その、恐る恐る、探るように、という手つきがよかったのかもしれないですね。

加藤 そうかもね。「ここ?」「そう、それそれ」「こっち?」「そうそう」なんてやりとりしながらでさ。で、なんか出ちゃった、という感じ。知らない行為を模索している中で起こったんだ。そんなもんだよ。

あと、「顔に射精する」というのも、俺が業界に入った頃はなかったんだ。村西とおるがやりはじめたって言われているけど。当時、なぜ顔に出したかというと、お腹に出すとお腹しか映らないじゃないですか。女の子が、最後にどんな顔をしているのかわからない。でも、顔だけ映していても、男がイッたかどうかわからない。そこで、両方をフォローする方法として考えられたのが……?

――顔射ですね。

加藤 正解! それが気持ちいいから、とかじゃないんだよね。だからその辺を、観ている人は勘違いしないでほしい。AVの映像の世界というのは、あくまでも出来る範囲で何ができるか、ということを突き詰めた世界のことだから。相手が気持ちいい・悪い、は関係ないのよ。

――顔射も、やりたい願望がある男性は多いですよね。

加藤 ヤル方だって大変なのにね。イキそうになっているちんこを顔まで持っていくなんて、地獄の我慢なわけだよ。今のAVを見ると、コンドームを外して顔の近くまで持っていってかけているけどさ、男優にしか出来ない技だと思う。素人がやったら途中で漏れるよ。それってダサいよね。そのダサさを、男はよく考えた方がいいよ、欲望を優先するよりも。

レジェンド・加藤鷹が語る、AVを真に受ける男としょぼいセックスをする女たち/インタビューの画像2
欲望を優先しちゃダメ
加藤 顔射ができる前は、「女優の陰毛にもモザイクがかかっているのに、そこに射精しても精子が映らないじゃないか」って怒られている男優がいたなあ。そういうこともあって、模索して色んな演出ができるんだよね。

――おっぱいに射精して、おっぱい越しの顔を映す、というのはダメなんですか?

加藤 そのパターンもあるけど、顔射はおっぱいに射精したらたまたま顔にかかって、それがエロく見えたんだろうねえ。本当にね、AVって、たまたまの積み重ねで今の形ができているんだよ。射精したあとにおちんぽを食べに来る子もそれだね。

――お掃除フェラですか?

加藤 そういうのって、制作側の演出や強制ではなく最初は偶然で起こっていることなんだよね。元々、吸い取っちゃう癖がある子だとか、射精をするときに口からちんこを離さないから、監督が「見えないだろ!」と怒るんだけど、「だって、飲みたいんですもん」って子がいたり。「そんな子がいるのか!」と、日々勉強ですよ。

そういうAVの映像を見て、単純に「あ、こういうことをやっていいんだ」と思う男はバカなんだよな。潮吹きだって、ヤル相手によって吹くポイントが全然違うしね。俺はいつも、セックスは体感学習しかないと思っているよ。論じることじゃないんだ。

◆続く後編は……25年間、AV男優として生きてきた「神」が、女性向けAVについて、AV女優の「AV出演強要問題」についても切り込んでいきます。

最終更新:2017/04/02 07:10
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