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『SRサイタマノラッパー~マイクの細道~』第2話 人生のリセットの仕方がどうにも分かりません!

 酔客たちを相手に醜態をさらすIKKUとTOMにいたたまれず、店内へと飛び込んできたのがMIGHTYだった。「なめんなラップを、なめんなヒップホップ」と2人をディスるMIGHTY。まともな会話を交わすことができずにいた3人だが、不思議なことにラップだと言葉が勝手に口から溢れ出してくる。東京で人気ヒップホップグループ「極悪鳥」のパシリを務め、栃木では裏ビジネスに従事し、さらには刑務所暮らしも経験しているMIGHTYは「いつだって余裕 いつだって行く 今日だって行く」とIKKUたちに対し上から目線のラップで圧倒するが、IKKUたちと掛け合っているうちに歌詞が「二巡目スタート 今日だっていく 今日いく きょういく……教育 金融 ブランニュー」と劇場版第1作『SRサイタマノラッパー』の公民館ライブで披露した「SHO-GUNG」の大ヒットナンバー「教育 金融 ブランニュー」へと繋がっていくではないか。

 IKKUたちを残して東京へ行っても、裏社会の住人になっても、刑務所に入っても、MIGHTYの心の奥には3人でやった公民館ライブの記憶がずっと息づいていた。一瞬だけテレビ画面に映る、『SR1』の公民館ライブ。あの頃、怖いもの知らずの大バカものだった「SHO-GUNG」の若き日の姿に、こちらの涙腺も刺激されてしまう。

 スナックから逃げ出し、夜の海岸へと走っていくMIGHTY。北国の小さな町で地に足を着けて働こうとしていたけれど、「SHO-GUNG」の一員としてTOMやIKKUたちと曲づくりに夢中になっていた日々が忘れられずにいた。そんなMIGHTYを追いかけるTOMとIKKU。暗い夜の海に向かって「お前ら本気でクラブチッタのステージに立つつもりか? 無理だよ無理。チャレンジ枠? そんな枠、この世にはねーよ」と呟くMIGHTY。10年間ラップをやっても芽が出なかったことはIKKUもTOMも充分自覚している。ここでIKKUがメタボ体型の全身の脂を絞り出すかのような悲痛な台詞を吐き出す。

IKKU「オレら、最後に何かカマせねぇとどうやってリセットしていいのか、これからの人生わかんねぇんだよ」

 人生のリセットの仕方に手慣れた人なんてどこにもいないし、他人に教えてもらうものでもない。自分自身の手で身を持って体験するしかない。世界で通用するようにと10年前に命名されたグループ名「SHO-GUNG」だったが、その名前は国内はおろか埼玉県内にも轟くことはなかった。完璧なネーミング負けだった。それなら、せめて自分たちの手で「SHO-GUNG」に引導を渡すしかない。

MIGHTY「どうせ、もうなぁんもねぇんだぁ……。最後にやるか、SHO-GUNG再結成。締めくくりやってやるよ、あー!?」

 それぞれの青春に墓標を建てるため、IKKU、TOM、そしてMIGHTYはクラブチッタのステージを目指すことになった。ドラマ2週目でこの熱さ、クライマックスは一体どれだけ盛り上がるのだろうか?
(文=長野辰次)

最終更新:2017/04/18 11:29
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