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六代目山口組が対立勢力に手榴弾攻撃…動き出す9年目の山口組分裂問題

山口組総本部
いまだに使用制限が科せられている山口組総本部

 「今となれば山口組の分裂問題はいったい何だったのかと言わざるを得ない。山口組とたもとを分かった連中は若い衆の未来のために立ち上がったと言っていたが、結局、処分された離脱組織が存続しているお陰で、両陣営に対する警察の締め付けが強化され、抗争状態が続くことで、行かなくてもよい懲役に行く者が増えるなど、若い衆を中心にみんな迷惑しかしていないのではないか」

 そう口にするのは、六代目山口組に近い関係者だ。

 「この間、どれだけの組員が神戸山口組を去っていったと思う?  宅見組も池田組も、神戸山口組の運営方針に不満を持ち、神戸を去った。中核組織だった山健組まで、今では六代目山口組に復帰している。それでも神戸山口組のトップは『1人になっても解散も引退もしない』と周囲に言っているとのことだ。これが山口組のためになっているのか。早く神戸が解散して、抗争指定(特定抗争指定暴力団)の括りから外れてほしいというのが、両陣営の組員たちの本音ではないか」

 この関係者が述べるように、神戸山口組が存続する限り、当局は抗争状態であると認定し、六代目山口組に対しても数々の規制が科せられ、たとえば、神戸市灘区にある山口組総本部すら使用できない状態が続いていくのだ。そんな分裂問題も、今年8月でまる9年を迎えることになる。

 「六代目山口組サイドとしては、例え犠牲者を増やすことになっても、神戸山口組に対して武力を行使し続けています。対する神戸山口組は内紛や離脱が相次ぎ、勢力を衰退させながらも報復することなく、籠城しているような状態が続いています。そんなことに意味があるのかと組員たちから不満の声が上がるのも無理のないことではないでしょうか」(ヤクザ事情に詳しいジャーナリスト)

 それだけではない。神戸山口組から離脱し、独自の組織運営を行っている絆會(2017年に神戸を脱退)や池田組(同2020年)に対しても、昨今は六代目山口組サイドの矛先が向いているのだ。

 今月に入り、絆會の織田絆誠会長の自宅周辺には、六代目山口組サイドの組員と見られる他府県ナンバーの車が目撃されている事態が起きており、当局サイドが警戒を強めている。また、4月18日には、絆會と同盟を結んでいる池田組に対して、その本拠地・岡山にある組関係者宅に手榴弾が投げ込まれるという事件も起きているのだ。要するに六代目山口組側としては「処分した親分衆が、今もヤクザ組織を率いていることは決して認めない」という意思表示ともいえるだろう。

「ヤクザというものは、世話になってきた組織から処分されれば、足を洗うことで一つのケジメとしてきた。だが、処分されてもそれがなかったかのようにヤクザを続けていれば、六代目山口組の威信に関わる問題であり、それを認めることはないだろう。ここ来て不穏な空気が流れているのは確かだ。そうなれば、当局はさらに厳罰化を進めなければならない。結果、そのことによって多くの組員たちが迷惑している。対立の先になんからの展望があるならばまだしも、六代目山口組以外は、今のところ明るい将来があるとは思えない。そう考えると、対立を続けることはもうよいのではないか」(捜査関係者)

 確かに、神戸山口組の井上邦雄組長が引退し、神戸山口組を解散させれば、当局のヤクザに対する締め付けも変わってくるだろう。

「山口組分裂問題は9年近く続いている。決断のときは近いのではないでしょうか」(前出のジャーナリスト)

 勝てば官軍という言葉がヤクザ社会にも当てはまるとしたら、革新勢力を完全に抑え込んだといえる六代目山口組にその世界での正義があったと、歴史的には評価されるのかもしれない。だが、ここまでにすでに多くの血が流れ、多くの人間が懲役に行くことになった。これ以上、犠牲を拡大させないためにも、当事者たちの「決断」が待たれるだろう。

(文=山口組問題特別取材班)

ヤクザ業界をフィールドとする作家、ライターおよび編集者による取材チーム。2015年の山口組分裂騒動以降、同問題の長期的に取材してきた。共著に『相剋 山口組分裂・激動の365日』(サイゾー)がある。

やまぐちぐみもんだいとくべつしゅざいはん

最終更新:2024/04/24 19:59
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