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『99.9』変人・深山が“透明人間”の謎を解くも、まるで金沢市のPR動画状態?

TBS系『99.9 -刑事専門弁護士-』番組公式サイトより

 嵐・松本潤が変人・刑事弁護士役を演じるドラマ『99.9 -刑事専門弁護士- SEASONII』(TBS系)の第2話が21日に放送され、平均視聴率18.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から2.9%の大幅アップとなりました。

 今回、深山大翔(松本潤)が調査するのは、26年前に石川県・金沢市で起きた、そして深山自身の父親・大介(首藤康之)が容疑者として逮捕された女子高生殺人事件。第一審で有罪判決が下り、控訴の手続きの途中で大介が死去したため、そのままお蔵入りとなった事件です。

 26年前の事件のあらましは以下の通り。殺害が起こった当夜20時40分頃、車で駅前を通りかかった大介は、顔見知りの美里(織田梨沙)を見つけ、雨が降っていたこともあり家へ送っていくことに。その10分後、美里は妹へのお菓子を買うためコンビニの前で降車し、大介はそのまま帰宅。その翌朝、美里の遺体が雑木林で発見され、その傍には美里と大介の指紋だけが付着した傘が落ちていた。さらに、帰宅後のアリバイ証言が妻以外になかったため、大介は最重要容疑者になってしまったのです。

 しかし、前回のラスト、被害者の妹・鏑木美由紀(野々すみ花)から、新たな遺留品(水晶の御守り)が見つかったと連絡が入り、真犯人発見の可能性に賭けて深山は再調査をすることに決めたのでした。

 当時の捜査・裁判記録を洗い直したところ、不思議なことがわかってきます。殺害現場には傘以外、指紋や足跡、DNAなどが一切残っていなかった。事件当夜、雨が降っていたことを抜きにしても、まるで“透明人間”による犯行のようなのです。

 その一方、美由紀の証言により、事件が起こる数カ月前から美里が男性にしつこく言い寄られていたことが発覚。また、事件当夜、美里はコンビニに入らなかったこともわかり、恐らくその店内にストーカー男がいたのでは? と深山は推測。しかし、当時のコンビニ店長に問い合わせてみると、美里が大介の車から降りた時間帯に“お客”はいなかったとのことで、調査は難航してしまいます。

 そんな折、深山の上司・佐田篤弘(香川照之)が、家族を伴って金沢に到着。すると、佐田の娘・かすみ(畑芽育)が遺留品とまったく同じ御守りを持っていて、それが信州の山頂にある神社で売っている縁結びの御守りであることが判明します。

 深山たちが足を運んだ結果、その神社には確かに遺留品と同じ御守りが売られていました。そして、26年前の入山記録を調べるとそこには、美里の遺体の第一発見者だった警察官・小倉学(薬丸翔)の名前が。さらに、殺害現場に落ちていた傘には小倉の指紋も付着していたことが判明。事件当時、小倉は初動捜査の際のミスで指紋が付着したと主張したのですが、実際は美里を殺害した時に傘に触れていたのです。

 また、コンビニ店長に改めて確認したところ、事件当夜、店内にお客はいなかったものの、巡回していた小倉はいたことが発覚。つまり、“透明人間”は警察官という職業と、検察側が不利な証言を揉み消したことにより作り出されたものだったのです。

 以上の調査結果を、深山は26年前の担当検事・大友修一(奥田瑛二)に突き付け、大友は責任をとるカタチで辞職。父親の汚名をそそいだところで終了となりました。

 さて、感想ですが、前回同様に今回も、容疑者逮捕に至った経緯がお粗末すぎる印象が否めませんでした。殺害現場にあったのは傘に付着した指紋だけ。アリバイについては妻の証言しかなかったため効力が弱かったとのことですが、普通に暮らしていたら大概そんなものでしょう。逆にアリバイがある方が怪しいですよ。

 また、犯人が警察というパターンは、古くはトマス・バークによる短編推理小説『オッターモール氏の手』や、日本人作家でいえば貫井徳郎氏による傑作小説『慟哭』(東京創元社)など、ミステリー界では割と多いパターンなので新鮮味は感じられませんでした。

 それと、もう1つ気になったのは、深山が26年前の事件を再調査した動機。新たに見つかった遺留品は父親や被害者の物ではないと断定していましたが、なぜそんなことが言い切れるのか。家族が持っている物を、何から何まですべて把握している人っているものなんですかね。

 そんな疑問点があったためイマイチ真相究明のくだりに引き込まれず、やたらと街並みや自然の美しさが映し出されたため、金沢市のPR動画を見ているような錯覚に陥る瞬間がしばしばありました。

 ただ、調査の時は意見が食い違うものの、おやじギャグが飛び出した瞬間にだけ親友のように仲が良くなる深山と佐田の関係性や、個性派揃いの脇役陣の演技は、前シーズン以上に見ていて面白い。タイトルが厳かなため難事件を期待してしまいますが、謎解きとコミカルな小ネタとのバランスという観点でいえば、人気ドラマシリーズ『トリック』や『時効警察』(共にテレビ朝日系)などに通じるような良さがあると思うので、この先の高視聴率も期待できるのではないでしょうか。
(文=大羽鴨乃)

最終更新:2018/01/22 20:00
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