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森本晃司がついに完成させた 世界を変えるための『次元爆弾』

morimotokoji01.jpg『鉄コン筋クリート』、『マインド・ゲーム』でお馴染みの映像集団STUDIO4℃が、この10月、
気鋭の監督たちによる短編アニメーションの競演、第二弾『Genius Party Beyond』を公開する。
5本の新作短編の中には、あの森本晃司監督の新作も含まれているというから、これは見逃せない!

「ようやく、でっかいウンコをしたって感じかな」と、森本晃司は新作『次元爆弾』について語る。前作『THE ANIMATRIX【Beyond】』から実に5年ぶりとなる新作だが、その中身はこれまでの森本作品の集大成とも呼ぶべきものに仕上がっている。20分という短編ながら、3年という制作期間をかけた映像には、長編作品にも比肩する濃密なエッセンスが凝縮されている。

「物語を基調にした演出ではなく、今回目指したのはクラシックの楽曲を作るような演出。生理的・直感的な気持ちよさというのが、自分にとっては重要なんです」

 生理的な気持ちよさ──森本晃司の作品は、いわばこの一点によって世界的な支持を受けてきた。それは『あしたのジョー2』や『AKIRA』といった日本のアニメ史に残る伝説的な作品にかかわり続けてきた中で磨き抜かれた、卓越した作画技術によって裏打ちされている。その純度の高さが、ケン・イシイやGLAY、宇多田ヒカルなどの著名なアーティストたちをも魅了してきたのだ。

「最近のアニメっていうのは、絵が物語を語るための紙芝居のように見えてしまう。極論しちゃうと、絵の力を信じていないのかなって。自分はやっぱり絵が好きなので、絵で表現できることを追求してみたかった」

 新作『次元爆弾』には、一般的なアニメ作品で言われるような”物語”はない。しかし、そこには世界全体を包み込む、巨大な物語の気配がある。

「物語そのものを語るのではなく、枝葉によって幹の存在を感じてもらいたいというのは、これまでもずっと自分の中で一貫してきたものだった。よく言うんだけど、ガンダムの世界でも田舎の片隅でお茶をすすっている老夫婦はいるはずで、自分が興味を持ってしまうのはそういう老夫婦のほうなんです。それを丁寧に描くことで、その背後にある物語や世界を感じてもらうこともできるんじゃないかって」

 彼が追求し続けてきたことは、詩を紡ぐ行為に近い。一流の詩人が極限まで磨き抜いた言葉によって、誰も見たことのない次元の扉を開くように、森本晃司もまた極限まで磨き抜いた”絵”によって、ほかの映像作家では見せることのできない次元へ観客を連れて行こうとしている。彼が志してきたことは、つまり物語からの離脱だ。

「『次元爆弾』っていうのは、まさにそういう想いを込めてつけたんだけどね。いつも短い作品だけど(笑)、これで世界を変えてやるって、そういう野望はいつも持ち続けています。男の子なんで」
(山下卓/「サイゾー」10月号より)

morimotokoji02.jpg(c)Genius Party Beyond

●『次元爆弾』

森本晃司、前田真宏、中澤一登、大平晋也、田中達之、STUDIO4℃が誇る映像作家5人が、新作短編で競作する『Genius Party Beyond』。森本の『次元爆弾』では、少女クウを想う少年シンの内面世界が、感覚的なイメージの連なりによって描かれる。クウ役には、菅野よう子が声優初挑戦!
出演/菅野よう子、小林顕作
音楽/Juno Reactor
製作・配給/Beyond C.
10月11日よりシネマート六本木ほかにて全国順次ロードショー

●もりもと・こうじ
1959年、和歌山県生まれ。STUDIO4℃の創設者のひとり。『あしたのジョー2』などの原画、『AKIRA』の設定・作画監督補を経て、『MEMORIES【彼女の想いで】』『THE ANIMATRIX【Beyond】』などのアニメーションや、ケン・イシイ、GLAY、宇多田ヒカルらのPVを監督。イラストレーター、DJとしても活躍する”世界のモリモト”。著書『Oレンジ』(飛鳥新社)。

9月26日(金)、10月3日(金)に『Genius Party Beyond』公開記念STUDIO4℃オールナイトに出演! 詳しくはこちらへ→<http://www.tohotheater.jp/theater/roppongi/news.html

鉄コン筋クリート

4℃渾身の作画サーカス。キャラもカメラも動く、動く。

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最終更新:2008/09/24 20:00
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