日刊サイゾー トップ > 社会  > 「小林よしのり vs 佐藤優」──論争ではなく”戦争”が勃発!?

「小林よしのり vs 佐藤優」──論争ではなく”戦争”が勃発!?

go-sen01.jpg発端となった『ゴー宣』によると、佐藤氏は「琉球
新報」で、沖縄戦での集団自決に関する日本軍
の責任を真摯に受け止める論陣を張る人たちを
「いい人」とし、一方、「沖縄は全体主義の島であ
る」という有識者は「いい人でない人」と書いてい
るという。そして、後者について「名指ししていない
が、もちろんわしのことだ」と断言する。
(「SAPIO」8月20日・9月3日合併号より)

 よしりんこと、漫画家の小林よしのり氏が、論壇の寵児・佐藤優氏にケンカを売った。「SAPIO」(8月20日・9月3日合併号/小学館)掲載の『ゴーマニズム宣言』において、佐藤氏批判を3ページにわたって繰り広げたのだ。

 ここでよしりんは、自身の重要テーマである沖縄論に佐藤氏が噛み付いてきたと捉え、激高している。いわく<佐藤優が琉球新報(7月12日)にデタラメな記事を書いている><要するにこう言いたいわけだ。「小林よしのりって奴は、沖縄のことを本気で考えて行なっているのではなく、金と虚栄心を目的にやってる悪い人だぜ!」呆れた話だ。「国策捜査」で罪をでっち上げられたと言ってる奴が、人に濡れ衣を着せている!>などなど。

 しかし、「SAPIO」といえば、よしりんだけではなく、当の佐藤氏も長期連載を持つ媒体。そこで佐藤氏を猛攻撃するとは、穏やかではない。

 対して、佐藤氏は「週刊SPA!」(9月23日号/扶桑社)で反撃を開始。同誌での佐藤氏の連載の特別編「佐藤優のインテリジェンス職業相談」が舞台だった。この記事はあくまで「フィクション」という位置づけで、漫画家から誹謗中傷されたという「ラスプーチン」さんと、作品の売り上げ低下に悩む漫画家「大林わるのり」さんからの相談に佐藤氏が答えるというもの。

satoumasarushimen.jpg佐藤氏は「SPA!」の連載で3ページに
わたり反撃。よしりん(とは書いていな
いが)の攻撃を「人格的な誹謗中傷と
しか思えない」としている。

 しかし、その内容は<読者に対する説明責任をどう考えているのか、編集長に釈明を求めるといいでしょう><あくまでも事実関係で相手をぎりぎり締め上げることです><わるのりさんが、現在の影響力を維持することは不可能です><漫画界と論壇界をコウモリのように渡り歩かれることをお勧めします>など、よしりんや「SAPIO」編集部への皮肉とも批判とも取れるものだった。渦中の佐藤氏を直撃した。

「私は今回の件を『論戦』とは意識していません。論戦には2つの条件があります。ひとつは論点を明示していること。それから、相手に対する最低限の礼儀があること。どちらも小林さんには欠けている。たとえば小林さんは『佐藤は、ただただ、自分を「いい人」、わしを「悪い人」と印象操作したいだけなのだ』と言っている。どこで私がそんなことを言っているのか。私の発言を要約しているにしても、これでは不適当。さらに、マンガの欄外では『わしが沖縄を論じる目的が「金と地位」と佐藤は言うが、生憎わしはその両方とも現状に不満はない』と言っているが、私はそんな発言はしていない。問題は、こうした的外れの言いがかりを論争であるかの如き扱いで掲載した『SAPIO』編集部です。何ゆえにこんな記事を掲載する価値があると考えたのか。長期連載をしている人が、他の長期連載者をデタラメだと攻撃する。そのことを『SAPIO』編集部はどう考えているのか。論者が書いたことをただ読者の判断に委ねるというのでは、2ちゃんねると一緒で編集権が不在ということになってしまいます」

 佐藤氏の口ぶりは冷静だが、これは論戦などではなく、礼儀や論理など無用のケンカだと言っているようにも取れる。

「最初に撃ってきたのは向こう。西部劇の世界と一緒で、最初に撃ってきた側に、その要因となる事実関係の検証責任があるのです。さらに、私の言論に対して、小林さんはマンガという非対称な形で撃ってきた。ですから、こちらも『フィクション』という非対称な切り返しをしたわけです。そのほうが読者にとってもおもしろいでしょ?」(佐藤氏)

 なお「SAPIO」編集部は、今回の件に関してノーコメント。よしりんの秘書に「反論記事を載せる予定は?」と聞くと、「詳しい対応方法はお話しできない」としつつも「文章なり作品なりで議論していくのが本筋。『SAPIO』でどうやっていくかを考えるのが、小林の取るべき方法だと思います」と、『ゴー宣』でさらなる佐藤氏批判を展開することを匂わせている。

 売れっ子同士のバトル、元気のない論壇・出版界にとっては福音では? と言うのは不謹慎か。
(荒井香織/「サイゾー」11月号より/佐藤優氏、ロングインタビューにつづく)

新ゴーマニズム宣言 14

長寿マンガ。

amazon_associate_logo.jpg

【関連記事】 いまこそ団結!?「超左翼マガジン ロスジェネ」は若者の味方です
【関連記事】 リベラルはもう受けない!? 朝日新聞オピニオン誌「論座」休刊へ
【関連記事】 創刊もいきなり赤字懸念!?「m9」編集長が語るm9(^Д^)な展開

最終更新:2008/10/22 20:18
ページ上部へ戻る

配給映画

トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • twitter
  • feed
特集

【1月期の冬ドラマ、最終回へ】視聴率・裏事情・忖度なしレビュー

月9、日曜劇場、木曜劇場…スタート日一覧、最新情報公開中!
写真
インタビュー

『マツコの知らない世界』出演裏話

1月23日放送の『マツコの知らない世界』(T...…
写真
人気連載

茂木幹事長「吉野家」の領収書

今週の注目記事・1「『茂木幹事長』の卑しい『...…
写真
イチオシ記事

『R-1グランプリ』全ネタレビュー【前編】

 9日に行われたピン芸人日本一決定戦『R-1グランプリ2024』(フジテレビ系)は、漫談一筋20年の街裏ぴんくが優勝。賞金500万円を手にした。 ...…
写真