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20年以上の歴史を誇る「美少女たちの登竜門」の変遷

求めるものはゴクミ? 上戸彩? 国民的美少女コンテストの前途(前編)

bisyoujyo.jpg今年行われた第12回大会では、工藤綾乃ちゃんがグランプリとモデル部門をW受賞。
綾乃ちゃんは13歳で、身長は165センチ。目標とする人と聞かれて、
他事務所の所属である「モデルの杏」と答える大物ぶり(?)も見せた。

「国民的美少女」を選ぶという大仰な試みながら、20年以上にわたり開催されてきた「全日本国民的美少女コンテスト」。数々のタレントを生み出してきた同コンテストは時代とともにどう変化してきたのか? そこから見えてくる、現代に求められる美少女タレント像とは?

 大手芸能プロ・オスカープロモーション(正式には同プロが中心となった組織・全日本国民的美少女コンテスト実行委員会)が主催する「全日本国民的美少女コンテスト」は、ゴクミこと後藤久美子をイメージキャラクターとして、1987年に初めて開催された。

 時代はおニャン子クラブ解散直前。

 フツーの女子高生がクラブ活動感覚でテレビに出る”親近感”を前面に出したタレントの売り出し戦略に陰りが出始めた頃のことである。

 オスカーの取締役宣伝本部長の今井一郎氏は、コンテスト開催の理由を次のように振り返る。

「身近な存在のタレントもいいけれど、芸能界として後藤久美子のような正統派美少女も継承していくべきなんじゃないかと思ったんです」

 だが、問題は何をもって”正統派美少女”とするのかだ。オスカーでは「美少女の5つの条件」を「1、圧倒的な輝きを放つ美しい容姿。2、豊かな知性と品位。3、秘められた神秘性」……などと定義しているが、いずれも抽象的でイメージしにくい。

「審査員の審査項目には、音楽歌唱力、演技力、キャラクター、ビジュアルなどの項目があります。プロポーションは10代前半の子たちなので将来伸びる可能性もあり微妙なところですが、全体的なバランスをチェックします。審査員がつけた点数を集計し、総合得点トップの子がグランプリ。どこか大きく欠けたり、意見が分かれる場合は協議して決めます。マルチメディア賞はネットでの得票数で決められ、モデルや演技、音楽、グラビアといった部門賞は各部門の得点トップの子に決まります」(今井氏)

 今年8月に開催された第12回の審査委員長は写真家の篠山紀信氏。ほかにレコード会社や映画会社、放送局の幹部や、その年々で映画監督やデザイナーなどが加わり、だいたい15~20名で審査される。公正な審査を経て選ばれた歴代受賞者の顔ぶれを見ると、確かにみんな美少女だが、次第に系統が変わってきている気もする。

 やはり、同じ”美少女”というくくりでも、時代の流れや売り出し方針によって「今年はこういう子を選ぼう」といった戦略や傾向があるのではないだろうか。

「それはある程度ありますね。たとえば今年は、『キャラクターのある子を選ぼう』と募集をかける段階から決めていました。グランプリの工藤綾乃は、そこにピタリとはまった。彼女はまったく物怖じすることなく、どこでも自分を表現できる」(同)

 雑誌「Kindai」(近代映画社)や「duet」(集英社)などの編集に30年近く携わり、本コンテストも第1回から取材をしている芸能記者・水上也寸志氏は次のように述べる。

「このコンテストは、イメージキャラクターの後藤久美子という存在があってスタートしたので、私たちもどこかでそれを意識していました。特に第1回の藤谷美紀から、第7回(97年)の須藤温子までの受賞者には、ゴクミが確立した”美少女”という言葉が重荷になっていたのではないかと思います。十代の少女時代は、才能や力量があったのは間違いないのですが、細川直美(第2回)や小田茜(第4回)、佐藤藍子(第6回)らが、自分自身の個性でその立場を築いたのは、美少女という枠から抜けて、20歳前後から女優として活躍しだしてからでしょう」

 言ってみれば第1~7回までは”第2のゴクミを探せコンテスト”。「21世紀の石原裕次郎を探せ!」コンテストで優勝した徳重聡が、どんなにがんばっても「裕次郎」という偉大すぎる冠に見合う評価がもらえないように、「国民的美少女」たちも、それを見る側もゴクミという呪縛からは逃れられなかったのかもしれない。そんな流れを変えたのは、第7回で審査員特別賞を受賞した上戸彩であると、水上氏は言う。

「おそらくこのコンテスト出身者で、純然たる”アイドル”となったのは上戸さんだけでしょう。実際、ここ数年のコンテストを見ていると、『上戸さんのファンで応募しました』という子がとても多い。彼女が出てくるまでは、『ゴクミのファンでした』という子が多かった。それ以前にもそれぞれ部門賞はありましたが、話題となるのはグランプリだけでした。ところが、審査員特別賞から上戸さんのようなアイドルが出てきたので、翌第8回(02年)以降、マスコミの取り上げ方も変わりました。”うちはグラビア部門賞の子を誌面に出したい””うちはモデル部門の子”といったように、受け皿となるメディア側のキャパが広がってきたんです。

 事務所としてはまずグランプリの子に歌、ドラマ、あらゆるジャンルでトップに……という思いがあったのかもしれませんが、ちょうど視聴者や読者の嗜好も細分化されてきた時代になりました。なんでもできて、万人から愛される美少女タレントというのが、存在しづらい時代になったんです。国民的美少女コンテストは、上戸さんの登場をきっかけに、”美少女 “という言葉にとらわれなくなったように思います」(水上氏)
後編につづく/文=安楽由紀子/「サイゾー」10月号より)

ラブ・ストーリーを君に

誰もゴクミにはなれないよ。

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最終更新:2009/10/05 13:37
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