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市民からの請願を訴えた東村山市現職市議 控訴審でも敗訴

 一般市民からの請願に対して十分な指摘や反論もないままに、いきなり「名誉毀損だ」と裁判に訴える。そんな信じがたい裁判が、現代の日本において現実に進行してしまっている事実がある。

 事件の発端は、今から3年前の2007年のこと。東京都東村山市の一市民が、同市議会議員の矢野穂積氏(63)と朝木直子氏(43)に対して、自らに批判的な姿勢を示した、東村山市民を含めた一般市民等への、恫喝ともとれるような発言や職業差別的な主張を繰り返したことなどを理由に、両市議の辞職勧告を求める請願を市議会に提出した。

 これに対して矢野氏と朝木氏は、両市議へのそれぞれ250万円の支払いと、ネット上で公開されている「請願全文」の削除、両市議に対する謝罪広告などを求めて民事訴訟を起こしたものである。 

 しかし、今年3月に東京地裁立川支部は、矢野氏と朝木氏の主張を退け、原告敗訴の判決を下した。すなわち、請願はあくまで市議会に提出されたものであり、世間一般にばらまかれたものではないこと、そして、請願の本文がインターネットで公開されたことは事実だが、その内容は意見または論評の域を逸脱するものではないことから、損害賠償ならびに謝罪広告の請求について裁判所は棄却という判断を下した。

 これを矢野氏と朝木氏の両市議は、不服として控訴。その判決がこの10月6日に東京高裁で言い渡されたが、一審を支持して控訴棄却の判決だった。

 二審では、国民に当然の権利として認められている「請願」に対して損害賠償を請求したことについての法的な判断がなされるのではという期待が一部の関係者からうかがわれたが、判決は一審に添った内容に留まった。

 ただ、判決文では、矢野氏と朝木氏の両市議によるインターネット上の発言は、「矢野市議、朝木市議の公式見解」という表題がつけられていることなどから、それは個人的な発言ではなく「市議としての発言」であると認められるという判断を示した。そして、「その発言内容は市議としての適格性に関係すると言わざるをえない」(判決文から引用)と結んだ。

 すなわち、市議であることを自ら標榜しての発言によって市議であることの適格または不適格の判断とまったく無関係とは言えない可能性があることが、裁判所によって確認されたといえよう。

 当日、判決の言い渡しは30秒ほどで終了した。原告の矢野氏と朝木氏の両市議は出廷せず、被告側からは東村山市議の薄井政美氏の姿だけがあった。同控訴審の傍聴者は10名程度だった。

 さて、原告の一人である矢野穂積氏については、同僚市議から一般市民まで、手当たり次第に訴訟を起こすことで一部にはよく知られている。ある関係者によれば、「東京の裁判所では、その名が知られた10人のうちの一人」とも言われているらしい。そして、訴訟を自らに反対する者や異議を唱える者に対して口封じ的に行う、いわば恫喝訴訟的な行為を重ねているという指摘もある。

 さらに、矢野氏と朝木氏は、ここ最近になって世間を何かと騒がせている、「在日特権を許さない市民の会」(在特会)、「主権回復を目指す会」、「日本を護る市民の会」(日護会)といった、自称・保守系または民族系の活動家たちとの関係が指摘されており、それら活動家たちに事実と相違する、あるいはその可能性がある情報を流し、扇動しているという噂もある。

 実際、そうした自称民族派の活動家たちが矢野氏・朝木氏両名とほぼ同じ主張を繰り返していることも少なくない。また、矢野氏が自称民族派の主催する集会に出席したという事実も確認されている。

 ほかにも、両市議が関係しているという東村山市内の保育園での数々の問題など、矢野氏と朝木氏に関する話題は尽きない。その矢野氏・朝木氏両名だが、一部を除いてほとんどのメディアやジャーナリストの取材を拒絶している。

 さて、来年2011年には、東村山市で市議会議員選挙が行われる。そして、両市議が関係する裁判はまだいくつかが継続中だ。裁判と選挙で、来年は両市議の行動に変化は現れるのだろうか。今後も、両市議の行動からは目が離せそうにない。
(文=橋本玉泉)

東村山の闇―「女性市議転落死事件」8年目の真実

お二人の共著です。

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最終更新:2010/10/17 11:00
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