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アメリカの歴史と映画の記憶を再構築! 『カウボーイ&エイリアン』

rgb.jpgPhoto Credit: Zade Rosenthal
Universal Studios and DreamWorks II Distribution Co. LLC

 かつては洋画の一大ジャンルだった西部劇。時代とともに製作される本数は減ったが、根強いファンを魅了し続けるこのジャンルに、意表を突く切り口で新風を吹き込む新作が2本、奇しくも10月22日に同時公開される。

 まず1本目の『カウボーイ&エイリアン』は、新『007』シリーズのダニエル・クレイグと『インディ・ジョーンズ』シリーズのハリソン・フォードによる共演が話題のアクション大作。19世紀後半のアリゾナの荒野で、記憶を失い腕に奇妙な腕輪をはめた男(ダニエル・クレイグ)が目を覚ます。男がダラーハイド(ハリソン・フォード)に支配された町にたどりついた夜、未知の敵が空から襲来し、住民たちを次々に捕獲。その時突然、男の腕輪が青い閃光を放ち始める。果たして男の正体は、そして飛行体を操る侵略者の目的は……?

 タイトルが端的に示すように、西部劇のカウボーイの敵役に、地球侵略にやって来たエイリアンを配した異色作。ヘタをするとB級SF映画になりそうなネタだが、『アイアンマン』シリーズのジョン・ファブロー監督と、製作陣のロン・ハワード、スティーブン・スピルバーグらが、西部劇をはじめとするアクション映画への愛情をたっぷり注入。2大スターの起用に加え、雄大な景観のロングショットなど西部劇の伝統が息づく絵作りも相まって、風格ある一流の娯楽映画に仕上がった。主人公の記憶回復と”再生”がカギを握る本作は、アメリカの歴史と映画の記憶を再構築することで、困難な時代を生きる私たちにポジティブなメッセージを伝えるという意図が強く感じられる。

 もう1本の『ランゴ』は、フルCGアニメで西部劇を再現、しかも登場するキャラはほぼ全員動物という、ブッ飛んだ設定の注目作。お調子者のカメレオン・ランゴは、飼い主のドライブ中の車から放り出され、西部の荒野をさまようことに。たどり着いた町・ダートでは、住民の動物たちが水不足にあえいでいた。得意のホラ話に幸運が重なり、凄腕のガンマンになりすますことに成功したランゴは、町長から保安官に任命され、窮状の町を救うよう期待されるが……。

 『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズのゴア・ヴァービンスキー監督が、同シリーズの海賊船長ジャック・スパロウを演じたジョニー・デップを、スパロウ船長にも通じるお調子者キャラのランゴ役に起用。デップは声優としてだけでなく、体の動きも自ら演じ、それがモーションキャプチャー技術によりアニメで再現された。『スター・ウォーズ』シリーズで知られる視覚効果スタジオのILMが、は虫類の皮膚や動物の毛、鳥の羽など細部までリアルな質感と、繊細な表情からダイナミックなアクションまで、最先端のCG技術をあますことなく投入。思わずニヤリとさせられる名作・名優へのオマージュやパロディも満載だ。笑い、スリル、感動のバランスも抜群で、映画マニアからファミリーまで幅広い層にオススメしたい娯楽作だ。
(文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉)

「カウボーイ&エイリアン」作品情報
<http://eiga.com/movie/55921/>

「ランゴ」作品情報
<http://eiga.com/movie/55151/>

大いなる西部

名作。

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最終更新:2013/09/10 19:21
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