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「カルトなニッポン見聞録」第5回

カルトな記者会見と自由報道協会

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宗教、洗脳、自己啓発セミナー、悪徳商法……身近に潜むニッポンのカルトな風景に「やや日刊カルト新聞」の藤倉善郎がゆる~く切り込む!

 上杉隆氏という人が代表を務める「自由報道協会」という団体があります。この団体をカルトだと言うつもりはありませんが、私もいちおう報道に携わる身として、違和感を抱きつつ目の隅でややヲチしていました。しかし、まさかカルトネタで「自由報道協会」をいじる日が来ようとは。ましてや自分が自由報道協会を批判する記者会見を自由報道協会で行うなんてことも、さすがに想像していませんでした。

■自由報道協会にサイエントロジーが登場

 自由報道協会をざっくり説明すると、新聞やテレビによる記者クラブが官公庁等の記者会見などを独占しているのはおかしい、雑誌社やフリージャーナリストにも取材させろと主張して、自ら記者会見を開催する団体です。その目的はご立派なのですが、2012年4月、協会は自らが主催する記者会見で、カルト的な宗教団体の宣伝に加担してしまいました。精神医療を批判する4団体が名を連ねて、精神医療被害の実態報告や改善要求を披露した会見で、うち1団体が、宗教団体「サイエントロジー」の関連団体「市民の人権擁護の会」だったのです。

 サイエントロジーは、トム・クルーズやジョン・トラボルタなどハリウッド・スターの信者を抱えていることで知られていますが、高額なセミナー料金などが原因で、日本も含めてさまざまな国で問題視されている宗教団体です。教義の一環として、精神医学、特に精神安定剤等の薬の使用を否定しており、「市民の人権擁護の会」はサイエントロジーの教えを広め実践するために教祖ロン・ハバードが創設したフロント組織といえる存在です。

 「市民の人権擁護の会」は、自由報道協会主催の記者会見に登場した際、サイエントロジーとの関係を明らかにはしませんでした。協会が事前告知した会見概要等にも、その旨は書かれていません。さらに、ジャーナリスト・岩上安身氏責任編集の「IWJ」なども、「市民の人権擁護の会」がサイエントロジーであることを伝えないまま、会見内容をネットで垂れ流しました。

 カルトにも表現の自由がありますから、記者会見をやるのも自由です。しかし、自らの素性を明らかにせずに布教活動をするのは、宗教ステルスマーケティングです。ましてや、そんなものに「報道」だの「ジャーナリスト」だのを名乗る人々がまんまと乗せられるというのは、あまりに恥ずかしい出来事です。

■自由報道協会いじり

 そこで私は、やや日刊カルト新聞の記者たちや、サイエントロジー問題に詳しい紀藤正樹弁護士とともに、自由報道協会で記者会見を開くことにしたのです。もちろん、自由報道協会を批判する記者会見です。

 協会に会見開催の依頼を送ると、難なく承認されました。自由報道協会を批判する記者会見を自由報道協会が主催する。なんと懐の深い協会でしょう。

 ところが協会側は、私が申請したタイトル「“サイエントロジー記者会見”に関する記者会見」を「サイエントロジーに関する記者会見」に変更するよう求めてきた上、会見概要の説明文を無断で改ざん。協会の問題ではなく、サイエントロジーの問題だけを語る記者会見であるかのように一般告知されてしまいました。

 協会は、素性を明らかにしないカルト的な団体の会見情報はそのまま掲載するのに、会見の趣旨を正直に記載した我々の会見情報は、わざわざ違う趣旨に改ざんしてしまったのです。

 こういう理不尽なリアクションがあると、よりいっそういじりがいが出てきます。

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