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連載「クリティカル・クリティーク VOL.7」

戦慄かなの 「かわいい」の機微を表現する圧倒的クリエイティビティ

文=つやちゃん

戦慄かなの 「かわいい」の機微を表現する圧倒的クリエイティビティの画像1
戦慄かなの「Iceblink」MVより

 これは、戯言ではない。これは、気の迷いでもない。これは、ただの宣伝記事でもない。
これは、2022年の今、ユース層からもっとも熱狂を集めているにもかかわらず、音楽ジャーナリズムからほとんど言及されずにいる稀有な才能を、絶対的に支持するアジテーションである。

 戦慄かなの。「だいしきゅーだいしゅき」がTikTokで特大ヒットを記録し、ほどなくしてかてぃ(Haze)との「悪魔のキッス」もリリースから遅れ特大バズを喚起。いちアイドルという立場を超え、その一挙手一投足を注目されることで熱狂を生み、界隈でのプロップスを高めている存在である。SNSを駆使し支持を得る誰も彼もが「インフルエンサー」という呼称を名乗っている現在だが、本来その肩書は彼女のようにさまざまな領域を横断しながら新たな価値観を生み出している才能にこそ与えられていたはずだ。そういった意味で、戦慄かなのこそが正しきインフルエンサーとして、音楽やダンス、美容、ファッションといったあらゆる表現手段を駆使することで役目をまっとうし、世の中の多くの悩める人々をエンパワーメントしていると断言したい。

戦慄かなの×かてぃ「悪魔のキッス」

 もちろん、アイドルグループ〈ZOC〉の元メンバーとしての脱退騒動はじめ、いくつかのやや扇動的な言動が物議を醸してきたことは承知している。歌詞にもたびたび反映されている美容に対する過度なコミットメントは、ルッキズムの観点で賛否はあるだろう。ただ、戦慄かなののスタンスは、それによって単に外見の美醜の価値観のみを顕在化させているわけではないように思う。自らがかけられてきた心ない言葉や、同じくそれについて悩む者たちを前進させるために、可能な限り自らの手で境遇を変えていくという〈強い意思〉や〈努力〉へと焦点を合わせることができる点が、彼女のインフルエンサーとして優れた点に他ならない。

 戦慄かなのの才能が明確にドライブし始めたのは、実の妹である頓知気さきなと組んだ〈femme fatale〉として正式な音源をリリースした2020年からだと感じている。姉妹による完全セルフプロデュースというスタンス自体が〈決められた設定のもとで歌とダンスを演じる〉というアイドルの定義を覆すものであるが、グスタフ・クリムトの作品をはじめ、映画『女性上位時代』(1968年)などをリファレンスにしたというユニット名の検討から2人の自力での試行錯誤は始まっていた。femme fataleのワークスを実質的に牽引している戦慄かなのは、EP『femme fatale』(2020年)を自らの作詞と植松芳裕の作曲で作り上げたのち、次第に自らが描く世界観の構築/表現欲求をエスカレートさせていく。

 もともと、少年院時代に俳句の全国大会で金賞を獲ったことがあるという言語感覚と、雑誌『LARME』(徳間書店)などでたびたび展開してきた世界観の構築に対する他の追随を許さない完璧主義の姿勢は、より一層の加速を見せる。

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