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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.270

フェイクドキュメンタリーの金字塔が初DVD化! 一線を越えた“映画愛”の結末『ありふれた事件』

arifuretajiken03.jpg残酷な手口で殺人を重ねていくベン。バイオレンスシーンがあまりに迫真すぎ、「本物のスナッフフィルムでは?」と劇場公開時に騒ぎとなった。

 最後に「ゆうばり国際・冒険ファンタスティック映画祭’94」に参加するために来日した『ありふれた事件』の3人の共同監督ブノワ・ポールヴールド、レミー・ベルヴォー、アンドレ・ボンゼルにまつわるエピソードを。このとき3人と一緒に夕張まで同行したのは叶井俊太郎だった。後にホラー映画と間違って買い付けた『アメリ』(01)を大ヒットさせるなど映画業界の名物宣伝マンとなっていく叶井俊太郎だが、『ありふれた事件』はまだ業界に入って間もないド新人時代の作品だった。ドラッグを欲しがるブノワに「ジャパニーズドラッグだ」と日本の風邪薬を渡したところ、ブノワは一気呑みし、真っ青になってぶっ倒れてしまった。このとき同じホテルに宿泊していたのが、「ゆうばり映画祭」に審査員として呼ばれていた伝説の俳優デニス・ホッパー。叶井俊太郎から事故が起きたことを知らされたホッパーは、ブノワの胃にあった薬を吐かせるなどの救命措置を行ない、大事に至らずに済んだという。危うくあちらの世界に渡ってしまうところだったブノワを、かつてドラッグ中毒で苦しんだ経験を持つデニス・ホッパーが救ったというちょっといい話。

 共同監督を務めたレミーとアンドレの消息は不明だが、ホッパーに命を救われたブノワは今も俳優として活躍を続けている。そして、叶井俊太郎はホンモノの殺人鬼を主人公にしたガチなドキュメンタリー映画『アクト・オブ・キリング』(現在公開中)の宣伝プロデュースを手掛けている。
(文=長野辰次)

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『ありふれた事件【HDリマスター版】』
製作・監督/ブノワ・ポールヴールド、レミー・ベルヴォー、アンドレ・ボンゼル 脚本/レミー・ベルヴォー、ヴァンサン・タヴィエ、アンドレ・ボンゼル 撮影/アンドレ・ボンゼル 音楽/ジャン=マルク・シェニェ 出演/ブノワ・ポールヴールド、レミー・ベルヴォー、アンドレ・ボンゼル、ジャン=マルク・シェニェ、ジェリー・ドリエ、ヴァンサン・タヴィエ、アラン・オペッツィ 
発売・販売/アルバトロス 税抜き価格/3800円 発売日/5月2日(金)
(c)1992 Belvaux-Bonzel-Poelvoorde for Les Artistes Anonymes.
http://www.albatros-film.com/movie/arifureta-jiken

最終更新:2014/05/02 19:38
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