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テレビウォッチャー・てれびのスキマの「テレビ裏ガイド」第55回

『怪物くん』に続くハマリ役? 嵐・大野智が作り出す『死神くん』の距離感

shinigami.jpg『死神くん』テレビ朝日

「おめでとうございます。お迎えにあがりました」

 テレビ朝日でこの春からドラマ化された『死神くん』の原作は、えんどコイチの同名漫画。えんどコイチといえば、アニメ化もされたギャグ漫画『ついでにとんちんかん』が有名だが、『死神くん』は隠れた名作として漫画好きの間では熱烈に支持されてきた作品だ。基本的に1話完結で、死期の迫った人間に主人公の死神くんが、「お迎えにあがりました」と死を伝え、残りの時間で死が訪れるまでやり残したことをやるように促すという物語だ。

 第1話は、原作でも傑作と名高い「心美人の巻」をドラマ化した「心美人お迎えに参りました!」。監督が映画『リング』の中田秀夫というのも豪華だ。顔に大ヤケドを負い、失明した美人の友人を励ます、容姿にコンプレックスを持った女子高生・福子(大原櫻子)の前に、死神くんが現れる。

 彼女に死期を伝えても、もちろん最初は信じないし、その死を受け入れることはできない。

「まだ18歳なのよ。これから経験しなきゃいけないことがたくさんあるの」と訴える福子に、死神くんは怪訝そうに言う。

「ムダに長生きして、余計な苦労を背負わずに済むんですよ。人間にとって、こんなにおめでたいことはないはずですよね。人間はみんないずれ死ぬんです。それがたまたま早くなるだけのことです」

 主人公の死神くんを演じるのは、嵐の大野智。

 大野のドラマ出演といえば、真っ先に思い出されるのが、同じく漫画原作の『怪物くん』(日本テレビ系)だろう。この作品のドラマ化が発表された当初、多くの人から鼻で笑われた。『怪物くん』といえば、藤子不二雄Aによるかわいらしい絵柄が特徴。それを「ドラマ化するなんて……(笑)」という反応だ。しかし、大野の演じる怪物くんは、そういった想像をはるかに超えてハマっていた。

 もちろん、西田征史による巧みな脚本などさまざまな要因もあるだろうが、ドラマは好評を得て、特別ドラマを経て、映画化もされた。大野のちょっとふてくされたような、それでいて常にほほえんでいるような独特な表情は、実はかわいらしい二次元の子どもキャラを演じるのにピッタリだったのだ。

 死神くんも怪物くん同様、原作ではかわいらしい子どものような外見。『死神くん』のドラマ化の情報とともに、主演が大野だと発表されると、妙な納得感があった。

 死神くんは「今は他人のことより自分のやりたいことをするべきです」と忠告するが、福子は自暴自棄になってしまう。美人の友人の引き立て役にされていたことを嘆き、一度も男の子とデートすることもできず死んでしまうなんて、と。

 そんな福子に、死神くんは静かに言う。

「私の目には、あなたが一番美しく見えます」

 死神にとっては、容姿の美醜は関係ない、心の美しさしか意味がないのだ、と。そんな死神くんの言葉に心を動かされた彼女は、残された時間を友人のために尽くし、美しい心のまま死を迎えることを選ぶ。

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