日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 羽鳥慎一が各局に重宝されるワケ
週刊!タレント解体新書 第33回

羽鳥慎一はジャンルを越えて自由に羽ばたく NHK『LIFE!』生放送スペシャル(9月3日放送)を徹底検証!

 このセリフが台本にあったかどうかは判断が難しいところだが、生放送のハプニング感は明らかにこのセリフで公のものとなっている。少なくとも多くの視聴者は、これは羽鳥慎一のアドリブでだと思ったのではないか。なぜならこのセリフは、番組を俯瞰した者にしか言えない、メタ視点からの言葉だからだ。そして、こういったメタ視点の言葉が下品に見えない落ち着いたトーンと、そもそも番組や出演者を俯瞰して見つめる羽鳥慎一の普段の作法が、このせいふを自然なものとしている。

 その後も、アシスタントを務める女性が「当選しました」と言うべきところで「投票しました」と口にしてしまったとき、羽鳥慎一はこう受ける。

「若干、みんな緊張しています」

 羽鳥慎一は、どの番組においても常に当事者ではない。一歩引いた存在として、いま収録場所で何が起こっているのかを解説するという立ち位置だ。それは、おそらく『ぐるぐるナインティナイン』で習得した技術なのではないかと思うのだが、羽鳥慎一は自分が面白くなるのではなく、今その場で起こっていることの何が面白いのかを冷静に視聴者に伝えるのだ。

 だからこそ羽鳥慎一は、どの番組においても決してぶれることがない。空を羽ばたく鳥が地上の獲物を目で追うように、羽鳥慎一は俯瞰で番組を見つめている。そしてまた鳥のように自由に、局やジャンルの垣根の上を飛んでいくのだ。

【検証結果】
 この秋の改編で『モーニングバード』は『羽鳥慎一モーニングショー』に名前を変えてリニューアルする。赤江珠緒が卒業し、単独MCとなる羽鳥慎一。だが、不安要素はほとんどないといっていいだろう。石原良純や長嶋一茂らの無自覚な天然ぶりを俯瞰で見て冷静な言葉を放つことができるのは、羽鳥慎一をおいてほかにいないのだから。
(文=相沢直)

●あいざわ・すなお
1980年生まれ。構成作家、ライター。活動歴は構成作家として『テレバイダー』(TOKYO MX)、『モンキーパーマ』(tvkほか)、「水道橋博士のメルマ旬報『みっつ数えろ』連載」など。プロデューサーとして『ホワイトボードTV』『バカリズム THE MOVIE』(TOKYO MX)など。
Twitterアカウントは @aizawaaa

最終更新:2015/09/10 21:00
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