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週刊誌スクープ大賞

「全棟建て替え」「高額買い取り」は甘いワナ!? 下請けに責任をなすりつける三井不動産の悪巧

 現代によれば、こんなケースがあるという。10月14日、東京高裁で三井不動産と住民が争うある裁判の控訴審判決が言い渡されたという。

 三井不動産が分譲した千葉県浦安市の住宅が、東日本大震災の液状化被害を受けたことをめぐって、対策の是非を住民側と三井不動産が争っていたのだが、この日下された判決は控訴棄却。三井不動産側の完全勝利だったそうだ。

「素人が専門家のデベロッパー相手に技術的な問題を立証するのは極めて困難なうえ、引き渡しから10年を過ぎた物件では売主の瑕疵担保責任を追及できなくなるので、住民側は売り主の不法行為責任を立証しなければいけない。これはさらにハードルが高い」(欠陥住宅被害全国連絡協議会幹事で弁護士の高木秀治氏)

 業者と対峙するには「住民同士が結束していることがポイントで、いかに管理組合を機能させるかが重要。管理組合の理事は基本的には持ち回りで、長期闘争になると引き継ぎに問題が生じやすい。そこで、管理組合の下にプロジェクトチームを設置して、問題に中期的に取り組んでもらう」ことが必要だと、NPO法人「建築Gメンの会」理事長の大川輝夫氏は言う。

 話し合いをするときはデベロッパーだけではなく、ゼネコンの担当者も呼ぶのが大事だそうだ。さらに、交渉で引き出すべき条件は「建て替え」ではなく、「買い取り」がお得だという。

「金銭的な面で住民が一番お得なのは、やはり売ってしまうことです。欠陥がわかればマンションの資産価値はゼロになる。仮に建て替えたとしても、風評は残るので、資産価値は期待できない。そうであれば欠陥物件は買い取ってもらい、なおかつ、そのデベロッパーに安く新しい物件を紹介させるというのが一番いい」(不動産コンサルタント・オタガHSC代表の牧野知弘氏)

 しかし、現代によれば、こういう「闘争戦術」がまったく有効でない物件があるという。タワーマンションだそうだ。タワーマンションの建て替えは、事実上ほぼ不可能だからだ。

「タワーマンションは、住民構成が複雑すぎるのです。高層階に多いのは、相続税節税目的で買った富裕層や、投資目的の中国人。低層階に下がっていくほどに、ローンを組んで無理して買った普通の住民が増えていく。年収から生活習慣、マンション購入動機、国籍までがまったく違う人たちが、建て替えに必要な合意をする。その合意形成はどんなマンションよりも難しい」(牧野氏)

 住民の合意形成ができずに修繕が行えないとなれば、マンションは欠陥を抱えたまま、壊れてスラム化していくという最悪のシナリオが現実化する。

 買って10年以内であれば、売主は無償で修理をする瑕疵担保責任を負っているが、それを過ぎていればできない。

「マンションビジネスは、極言すれば売りっぱなしの商売。売った後も業者がきちんとケアしてくれると勘違いしていると、痛い目を見る」(現代)

 最後に、かつて耐震偽装事件で騒がれたヒューザー元社長の小嶋進氏の言葉を紹介しておこう。

「耐震偽装事件においては、姉歯元一級建築士が耐震強度を偽装した構造計画書を提出しましたが、元請けの設計士も、検査業界も見抜けませんでした。それでいて、合格確認済証や検査済証を出しても罪ではないとして、建設業界も検査業界も建築業界も誰一人罪に問われませんでした。根底には今回の施工不良事件に通じるものがあるのかもしれません」

 サラリーマンにとって人生最大の買い物である住まいが、売る側のあくどい施工の手抜きで欠陥だとしたら、自分の人生すべてを否定されたような気持ちになるのではないか。

 災難などとあきめずに、徹底的に売り主と戦ってほしいものである。
(文=元木昌彦)

最終更新:2015/10/26 21:00
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