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韓国の亀田兄弟的エースFWが兵役が嫌でダダをこねる! ほかの選手とは違った事情とは?

 韓国には、五輪でメダルを取ると兵役が免除されるというルールが存在する。そのため、サッカー準々決勝でホンジュラスに0-1で敗れた韓国選手たちは、試合終了直後、審判に詰めより「ロスタイムが少ない」と猛抗議を行った。オーバーエイジ枠でチームに参加したエースFWソン・フンミン(トッテナム)に至っては、その場で10分以上も泣き崩れてしまい、スタッフに抱きかかえられてピッチを後にしている。これにはNHKの野地俊二アナウンサーも、珍しく「あまりよい光景ではない」と発言している。

 五輪開催中にプレミア・リーグが開幕するのにもかかわらず、ソン・フンミン所属のトッテナムが出場を許可したのは、間違いなく兵役免除の件が大きい。そのため、トッテナムの地元紙は「ソン・フンミンの出場は無駄に終わった」と報じている。

「韓国には、約2年間の兵役義務が存在します。しかも、基本29歳と半年までに入隊しなければいけません。サッカー選手のピークに当たる約2年間を兵役に捧げなければならないので、兵役免除にみんな死に物狂いになるのは当然ですよね。しかし、兵役に行くことになった選手も、尚武(サンム)と呼ばれる国軍体育部隊でサッカーをすることはできるんですよ。しかも、そのチームは、Kリーグの2部に所属しているため、ある程度のレベルを保ってキャリアを過ごせるんです。サッカーだけでなくほかのスポーツにも尚武はあるので、韓国アスリート兵役時の受け皿になっています」(スポーツライター)

 ではなぜ、ソン・フンミンだけダダをこねてしまったのだろうか?

「ソン・フンミンは、韓国史上、最高峰の才能を持ったFWです。日本でいうボクシングの亀田兄弟みたいなもので、幼少期から父親の個人レッスンを受けていたために高校には行かず、自国のKリーグも経験せずにヨーロッパに渡るという特殊なキャリアを持っています。しかし、これがいけなかったんですね。尚武は高卒以上じゃないと入隊できないんですよ。ほかにも、警察庁のサッカークラブに入るという手もあるんですが、こちらはKリーグでのプレー経験がないと入隊できません。年齢だけでいえば、東京五輪というラストチャンスが残っていますが、その時に所属しているクラブが出場を許可するかはわかりません。今回ソン・フンミンが最も必死な選手だったので、一番ダダをこねてしまったんでしょうね」(同ライター)

 このままだと、ソン・フンミンのサッカー選手としてのキャリアは29歳で終わってしまう。才能があるがゆえに起きてしまった悲劇といえるだろう。確かに、試合終了後のソン・フンミンの態度はみっともなかったが、その気持ちはわからないでもない。
(文=沢野奈津夫)

最終更新:2017/02/08 12:10
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