日刊サイゾー トップ > エンタメ > ドラマ  > フジ月9が“挽回”のために必要なこと

月9史上最低視聴率ドラマ『カインとアベル』が“挽回”するために必要なこととは

 続いて、取り分の交渉です。この日に先んじて、優くんは父・貴行社長(高嶋政伸)から交渉のテクニックを教えてもらっていました。いわく「相手は30%って言ってくるから、こっちは最初に15%って言って、そしたら相手は20%まで下げてくるから、そこで手を打って」と。そんなにうまくいくかいな、と思っていましたが、またも優くんの神通力が発揮されます。

 社長の言うとおり「30%」を要求したスティーブンでしたが、優くんが「15%」と返すと、自動的に「25%……」と言い出しました。さらに優くんが睨みをきかせると、「20%……」と、ものの十数秒で妥結ラインに到達。全盛期の天才棋士・羽生善治は“羽生睨み”をきかせるだけで相手のミスを誘ったといいますが、“優睨み”はそれ以上の効力を発揮するようです。何しろ、自動的に下がるんですから。

 しかし優くん、ここで社長からの言いつけを無視し「15%、ノーモア!」宣言。交渉は決裂しましたが、後にスティーブンが高田の本社を訪れ「やっぱり15%でいいよ」と、もはや驚きませんけど、なんだか見ていて恥ずかしくなるような展開でした。

 ちなみに優くんが「15%」を譲らなかったのは、「チームのみんなが汗をかいて頑張ってくれたから」。頑張ってプレゼン映像を作ったり、開発許可を取ったり、資料を完璧に作ったりしたから、「報われるべき」だと思ったんだそうです。「トータルで考えて、それ以上渡す必要はない」とか「5%の差が高田の未来を作っていく」とか、急にトータルで考え始めた優くん。つい前日まで、ホテル近辺にヘリポートがあるかどうかも知らなくて梓さん(倉科カナ)にフォローされてた人とは思えません。

 と、いつも通り、山田涼介に対してだけ甘々な『カインとアベル』でしたが、今回は山田くんのアップショットが多く、その美しい顔面だけで画面が「もつ」シーンも多々あったんですよね。ラストショット、役員に抜擢された優くんが隆一に無視され、何か覚悟を決めたようなおっかない顔をしていたシーンなど、なかなか迫力と説得力のあるカットだったと思います。

 さて、ドラマも中盤を過ぎ、優くんのステータスは上がるところまで上がりきりました。ようやく、ジェットコースターの頂点にたどりついたといったところでしょう。ここまでジリジリジリジリとクソ甘いダラダラ展開で上昇させた優くんを、このドラマはどこまで、どう落とすのか。どう汚すのか。そして原典の『カインとアベル』になぞらえるなら、どう殺すのか。ジャニーズアイドルを相手に、フジテレビ月9は、どこまでやれるのか。

 今後、制作側が試されるのはストーリーの展開力や演出のケレン味といった表面的なところでなく、胆力のようなものなのかもしれません。まだまだ、挽回もあると思いますよ。
(文=どらまっ子AKIちゃん)

最終更新:2017/04/19 13:40
12
ページ上部へ戻る

配給映画

トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • twitter
  • feed
特集

【4月開始の春ドラマ】放送日、視聴率・裏事情・忖度なしレビュー!

月9、日曜劇場、木曜劇場…スタート日一覧、最新情報公開中!
写真
インタビュー

『マツコの知らない世界』出演裏話

1月23日放送の『マツコの知らない世界』(T...…
写真
人気連載

『24時間テレビ』強行放送の日テレに反省の色ナシ

「愛は地球を救う」のキャッチフレーズで197...…
写真
イチオシ記事

バナナマン・設楽が語った「売れ方」の話

 ウエストランド・井口浩之ととろサーモン・久保田かずのぶというお笑い界きっての毒舌芸人2人によるトーク番組『耳の穴かっぽじって聞け!』(テレビ朝日...…
写真