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人生の岐路に立って少女たちの心は揺れ動く――ドラマ『チア☆ダン』第8話

TBS系『チア☆ダン』番組公式サイトより

(前回までのレビューはこちらから)

 誰でも子供の頃には、「◯◯ちゃんみたいになりたい」「あんな仕事に就きたい」という夢を見たことだろう。その夢を持ったまま大人になり、実現させる人もいる。だが、多くの場合その夢は、「進路」という形で軌道修正される。時期的に言えば、中学3年生の高校受験の時、そして、高校3年生の大学受験・就職といった時。何の際限もなく大きく広がっていた夢が、現実を前に矮小化されていくのだ。

 ドラマ『チア☆ダン』(TBS系)第8話。主人公わかば(土屋太鳳)たちは、進路を具体的に考える時期に差しかかっていた。

「北信越チャレンジカップ」で優勝を果たしてから3カ月。ROCKETSのメンバーは、9月に行われる「チアダンス関西予選大会」に向け練習を重ねていた。一方で、高校3年生の夏、わかばの周りでは、進路の話が聞かれるようになる。

 早稲田の教育学部に行くという麻子(佐久間由衣)、看護師になるため看護学校を受験する望(堀田真由)、美大に行きたいという有紀(八木莉可子)など、みんな具体的な目標に向かって進み始める。夢を追い続ける汐里(石井杏奈)は、チアダンスを続けるために本場・アメリカに留学、茉希(山本舞香)はプロのダンサーになるといい、その覚悟は確かなようだ。

 そんな中、わかばは、チアダンスでの全米制覇以外は何も考えていない状態。まるで周りの人たちに置いていかれたような気持ちになる。メガネ工場を営む父(高橋和也)に、「跡を継ごうか」と言ってみるが、「そんな甘い考えでやっていける仕事ではない」と一蹴される。

 学生時代の、この取り残されたような感覚は、私にも覚えがある。ぼんやりと、「東京に行って好きなことをしたい」という思いと、「地元に残って平穏な生活をしたい」という気持ちが混ざり合って、自分の将来が決められなかったのだ。正直、その感覚は年をとった今でも残っている。なぜみんなあれほどまで自分の選んだ人生に自信が持てるのか不思議でならない。進路に迷うのは、多かれ少なかれ誰でも通る道だろうが、性格や考え方によって、その大小は違ってくるのかもしれない。

 ある日、わかばは、部室の壁に書かれた「You’ll never walk alone」という言葉に目を留める。これを書いた穂香(箭内夢菜)によると、「人生はひとりではない」という意味で、好きな曲のタイトルだという。

 これまでドラマの中では、サンボマスターの「できっこないを やらなくちゃ」、THE BLUE HEARTSの「人にやさしく」、SHISHAMOの「明日も」などの楽曲が、ストーリーとリンクした形で、効果的に使われてきた。今回は、初の洋楽。しかも、サッカーファンにはおなじみの曲だ。歌詞の意味を考えながら見ると、また深く物語を楽しめそうだ。

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