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映画『靖国』だけじゃなかった 文化庁助成金交付対象のナゾ

asagayaspiders.jpg阿佐ヶ谷スパイダースHP。一時は反体制の象
徴でもあった劇団が国から支援を受けるとは…

 映画『靖国 YASUKUNI』に政府から750万円の助成金が交付されていたことにつき、右派陣営から「こんな反日的な映画に政府が金を出すとは何事だ!」と批判が渦巻いている。助成金を出したのは、文化庁所管の独立行政法人が運営する「芸術文化振興基金」。応募者は収支書類や過去の公演実績に関する資料などを提出し、委員による審査を経て助成金交付が決定される。同基金の担当者によれば、これまで助成金返還に至った例はほとんどなく、『靖国』についても750万円の返還予定はないとのこと。

 かつて百数十万円の助成金を受けた劇団員は、こう語る。「大量の領収書を添付して提出したり、手続きはかなり面倒くさい。小劇場で地道にやっている公演を優先してくれればいいのに、どう考えても儲かっている商業演劇にたくさん助成金が支払われていて頭にきました」。

 チケット即完売で有名な阿佐ヶ谷スパイダースは1450万円、イッセー尾形の芝居は550万円をもらっており(07年度)、金額の割り振りはナゾだ。

 映画部門ではここ数年、実写版『火垂るの墓』や『クワイエットルームにようこそ』『博士の愛した数式』『ハチミツとクローバー』『嫌われ松子の一生』『それでもボクはやってない』などが各2000万円をもらっている。大手スポンサーがつき、テレビCMを打てるようなこうした映画ではなく、単館上映でがんばっている、芸術的・文化的作品を手厚く支援したほうが文化の振興を図れるのでは……。

 助成金を得るのは超難関かと思いきや、意外に倍率は低い。07年度は劇映画の交付決定数が22/67件、記録映画は12/28件。とりわけアニメは応募数が少なく、『茄子アンダルシア2』は倍率1倍で250万円を獲得(06年度下期)、『大ちゃん、だいすき。』も倍率1倍で2000万円をゲット(07年度上期)。この助成金制度、もしやほとんど知られていない!?
(荒井香織)

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最終更新:2008/06/06 18:54
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