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「伝説のA&Rマン」ワーナー吉田社長の死が業界に与えた衝撃

Warner-Music-Japan.jpgワーナーミュージックジャパン公式サイトより

 今月8日、大手レコード会社ワーナーミュージックジャパンの吉田敬社長が自宅で自殺したと報じられた。吉田氏は多数の人気歌手を育て上げ、若くしてトップに上り詰めた「伝説のA&Rマン」であったことから、音楽業界内外に衝撃が広がっている。

 ソニーミュージック時代に社内独立レーベル「デフスターレコーズ」のトップとして平井堅、CHEMISTRYらを育てた吉田氏は、ヒット歌手を見出す眼力と、大手事務所「研音」と密接な関係を結んでいることで知られていた。

「ここ10年、レコード会社の社員ディレクターとしては最高の実績を残した人です。ソニー時代の平井堅、ザ・ブリリアント・グリーン、ワーナーに移ってからの絢香が代表例ですが、吉田氏がヒットを生み出す手法とは、対象歌手の所属プロダクションとの強いコネクションを生かし、同じプロダクションの芸能チームが仕切るドラマなどでタイアップを打つことで、メディアミックス型のプロモーションを行うものでした。しかし昨年、研音所属の絢香と水嶋ヒロが極秘入籍したことで、この図式に亀裂が入ります。ワーナーが研音に配慮し、ドル箱である絢香との契約解除に踏み切ったことは、業界で話題となりました」(音楽事務所社員)


 今回の吉田氏の悲劇には、うつ病の治療中だったという背景があり、安易な理由探しは慎むべきであろう。とは言え、レコード会社の収益の柱であるCDセールスが長期低落傾向にある中、経営者である吉田氏に大きなプレッシャーがかかっていたのは想像に難くない。実際、ワーナー、ユニバーサルといった世界的なレコード会社は、各国の支社に対し「国内市場の売り上げを伸ばせ」との指令を出しているという。

「CD販売から音源配信、ライブ興行などに事業の軸足を移しつつある欧米のレコード会社に比べ、日本の音楽市場はCDの売り上げがまだ一定程度残っています。そのため、海外本社の日本市場に対する期待は大きく、時にはムチャな要求してくることもあるんです。実際、各社で邦楽部門を強化する動きが強まっている中、現場の担当者は黒字を確保するためにかなり無理を強いられている。吉田氏に限らず、外資系レコード会社の邦楽マンは辛い思いをしているんですよ」(同前)

 突出した実績でスピード出世を遂げながらも、非業の死を遂げることになった吉田氏。転換期にある音楽業界は、貴重な人材を失ったと言える。
(文=村西里志)

よくわかる音楽業界

儲からないことだけはたしか。

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最終更新:2010/10/17 08:00
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