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日大アメフト部は変われるか? 日本の学生スポーツが抱く“根深い問題”とは

※イメージ画像

 日本大学アメリカンフットボール部は、新監督・新コーチの人事について公募を行い、応募のあった京大元監督の水野弥一氏ら69名から、選考委員会が新監督を選出することになった。委員会のメンバーは、弁護士や大学教授、スポーツライターのほか、米スタンフォード大の河田剛コーチや、テレビキャスターも務めるアサヒビールシルバースターの有馬隼人ヘッドコーチらだ。こうした動きは、関東学生アメリカンフットボール連盟から「組織改革」などの条件付きで、秋のリーグ戦復帰が認められたためで、急ピッチで新体制が整えられているわけだ。

 こうした動きを仕切っているとされていたのは、騒動後に関係者の口封じをしていたと伝えられる井ノ口忠男理事。井ノ口氏は4日付けで理事を辞任しているが、「しばらくその体制は変わらないでは?」と語るのは、アメフト問題を取材する元プロラグビー選手のスポーツライター、河合吾朗氏だ。

「その悪しき体質は、日大のみならず日本の学生スポーツ界に古くか根付いてきたものですからね。その象徴といえるのが実は『全国大会』を目指す価値観ですよ。学生スポーツは、とにかく全国大会で優勝することを最大の美徳としてきて、そのために各学校の指導者がそれぞれの方針や戦略で選手を育ててきました。まるで大人が全国大会に勝つために学生を使って時間とコストをかけていると言ってもいいぐらいです。全国大会の多くはトーナメント方式で、一度の敗北でそれまで費やしてきた実績すべてが否定される感覚に陥りやすいんです。そうなると負けを恐れるあまり、練習方法も苦行に耐えてフィジカルの強さばかりを競う傾向が強くなります。本来、スポーツのスキルは戦略などを“考える時間”も必要なんですが、そこは指導者だけがやればいいというふうになりがちです。時代遅れな指導体制を変えるには、全国大会最優先の価値観から脱しないと、監督やコーチを変えても同じだと思います」

 確かに日本では、大会に敗れた学生たちはもとより、栄光を勝ち取った者までが燃え尽き症候群に陥りやすいともいわれてきた。結果、スポーツに携わること自体をやめてしまい、優秀な指導者が育ちにくい傾向も見受けられる。

 日大選手の多くは寮生活を強いられているが、これも河合氏に言わせると「世間から隔離して、閉鎖的な環境で練習させることで、自らの頭で考えさせない洗脳教育になりやすく、それこそ指導者の絶対服従がますます特化され、悪しき体質の温床になる」という。

「名指導者といわれるような監督でも、実際には若い選手たちと指導以外でのコミュニケーションが深く取られていないことが多く、日大でも監督やコーチと日常会話をほとんどしたことがないまま卒業していった選手がいます」

 河合氏はラグビー選手時代、フランスやアルゼンチンなど海外チームで戦ってきた経験から、日本の学生選手の育成環境が異様に見えるようになったという。

「たとえば世界トップレベルのオーストラリア、ニュージーランドの高校生は国内大会の優勝ではなく、ナショナルチームの代表に選出されることを目標としています。地区の対抗戦は社交性を高めることも重視されていて、単位を取得していなければ練習に出ることも許されないので、社会に出て必要とされるスキルもスポーツで学べる印象があり、スポーツバカは生まれにくいんです」

 海外では、そのナショナルチームの選手となるための指導要領が各地区に通達されるため、大学や企業に指導を任せることなく、地域の自治体が指導のガバナンスやノウハウをサポートすることが多いという。日本のように大学の理事長や監督がまるで独裁者のように振る舞うというのは、まるで軍国主義時代の遺物のようだ。
(文=片岡亮/NEWSIDER Tokyo)

最終更新:2018/07/10 23:00
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