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常田大希の『竜とそばかすの姫』メインテーマは“洋楽のパクリ”なのか? プロの意見は…

文=加賀美ジョン(かがみ・じょん)

millennium parade x Belle「U」

 映画『竜とそばかすの姫』が好調だ。先週2日に発表された興行通信社による全国映画動員ランキング(7月31日~8月1日)では3週連続で1位を獲得している。

 細田守監督の最新作となる同作は、インターネットの仮想世界「U」を舞台に、「ベル」というアバターで一躍注目を浴びる高校生すずと、竜の姿をした謎の存在の関係が描かれる。田舎町に住むすずは、幼少期に母を亡くして以来、歌うことができなくなっていたが、ベルの姿では歌声を披露することができ、ベルは「U」の世界で歌姫となっていく。

 すずの声を気鋭のシンガーソングライター・中村佳穂が担当していることもあり、本作では音楽が重要な要素を担う。メインテーマ「U」を担当したのは、King Gnuとしての活動でも知られる常田大希。常田率いる「millennium parade」と中村のコラボレーションとなっており(名義はmillennium parade x Belle)、ミュージックビデオが公開から2週間で再生回数800万回を突破(現時点では1200万回以上)、Billboard JAPANによる「HOT BUZZ SONG」チャート1位を獲得するなどこちらも好評だが、この曲にある疑惑がかけられているという。海外アーティストの楽曲の“パクリ”なのではないかというのだ。

 一部の映画レビューサイトでは、映画の内容に特に触れることなく、「主題歌が言い逃れの余地のないパクリ」などと叩くコメントがあった。SNSなどを中心にこうした声が上がり、「U」に対する批判的な意見が拡散されているようだ。

 比較されているのは、ベースメント・ジャックスが2019年に発表した久々の新曲である「Yodel Song」。ベースメント・ジャックスは90年代から活動する英国のデュオで、2003年に発表した『Kish Kash』は翌年のグラミー賞に輝くなど、ダンスミュージックの世界では知らぬ者はいないだろう大御所だ。日本でも人気で、たびたび来日しており、2014年の『FUJI ROCK FESTIVAL』ではホワイトステージのヘッドライナーも務めている。

 聞き比べてみると、確かに「U」で印象的な「ララライ ララライ」の部分は「Yodel Song」のメロディとよく似てはいるが、曲全体としては別モノのように感じる。プロの作編曲家も「これをパクリと糾弾するのはちょっと神経質すぎる」と語る。

「ベースメント・ジャックスの曲は“4つ打ち(のダンスビート)にヨーデルを掛け合わせる”というアイディア勝負の楽曲だと思います。一方でmillennium paradeの方は『ララライ』と『知りたい』で韻を踏んでいたり、あくまで“ダンスミュージックに歌詞とメロディが乗る”というフォーマットの楽曲であって、そもそも音楽的な意図が違う。この2曲を同じ土俵に上げて比べること自体がナンセンスだと感じます」

 「ララライ」の部分の「メロディが同じ」という指摘についても、こう解説する。

「メロディの音形という意味では、かなり近いと言えるとは思います。ただしこの“タタタータタタータタ”という音形自体は昔からよく使われているもの。たとえばジュディ・オング『魅せられて』のAメロ、『南に向いてる窓をあけ♪』のところもそうなので、この辺は挙げていくとキリがないですね。中村佳穂さんの歌声がヨーデルっぽいというのも、言われてみれば……という感じですが、それも別に今に始まった話ではなく、彼女の個性ですからね」

 別のプロ作編曲家も「この程度の類似は珍しくもなんともない」と笑う。ただ、今回「U」が批判された背景には、常田のこれまでの作風が関係している可能性も指摘した。

「常田さんは過去の曲で洋楽をわりと大胆に“引用”していたことがあったんです。それで、“パクリ”などと言われているのかもしれませんね。もっとも、仮にベースメント・ジャックスの曲を参照していたとしても、常田さんくらい才能のある人だったら、曲のモチーフさえあればメロディはいくらでも出てくるでしょうし、“インスパイア”の範疇だと思いますけどね」

 また、映画ライターは、『竜とそばかすの姫』自体が『美女と野獣』のオマージュとなっている点も影響しているかもしれないと語る。

「細田監督は、本作の原点について『インターネットの世界で「美女と野獣」をやったらどうなるか』と考えたところにあったと明言しています。実際、『U』の世界では主人公のアバターの名前が“ベル”で、竜は“BEAST(獣)”と表示されますし、さらに明確にディズニー版をオマージュしたシーンもある。そのため、『本編だけでなくメインテーマもか』と感じた人もいるのかもしれません」

 どこまでがオマージュで、どこまでが“パクリ”なのか。その境界線の判断は難しいが、少なくともmillennium parade x Belle「U」に関しては“パクリ”との批判は的外れのようだ。

加賀美ジョン(かがみ・じょん)

加賀美ジョン(かがみ・じょん)

洋邦問わず、音楽にまつわる編集・ライティングで十数年。クレジットを眺めるのが趣味。

最終更新:2021/09/15 20:31

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